先日行われた「第27回東京スポーツ映画大賞」授賞式には、ビートたけし審査委員長が監督した映画「アウトレイジ」の出演者や長澤まさみ、広瀬すず、香取慎吾らが出席。助演男優賞を受賞した大杉漣さんが授賞式4日前に亡くなるという悲しい出来事もあったが、授賞式自体は大盛況の中、行われた。

 この授賞式で毎年、司会を務めているのがガダルカナル・タカと江口ともみの2人だ。暴走しがちなたけしをなだめたりツッコんだりしながら、授賞式を進めていく芸当はタカしかできないだろう。たまに飛び出すのは、はいているスリッパで頭を叩くというツッコミ。今年の授賞式では、このツッコミが2回も出た。


 しかも〝被害者〟は、たけしではない。まずタカに頭を叩かれたのは、芸能人でもない是枝裕和監督だった。是枝監督の作品「三度目の殺人」の出演者では、広瀬と斉藤由貴が助演女優賞を受賞した。斉藤は出席の意向を示していたが、地方での映画の撮影で予定がつかず、残念ながら欠席となり、代わりに是枝監督が代理で登壇してくれたのだ。

 だが賞状授与の際、たけしは「あなたは不倫の揚げ句、パンツを頭にかぶり」と斉藤が昨年、世間を騒がせた不倫騒動をイジりだした。するとタカが「絶対書いてませんよね? パンツをかぶったのは相手の方で、斉藤さんはかぶってませんから」と訂正した。

 しかしたけしは構わず「パンツをかぶって」と続けると、タカはスリッパで是枝監督の頭を引っぱたいた。これを見てたけしがようやくわれに返り、「映画監督になんてことをするんだ!」と逆にツッコんでいた。

 おそらく斉藤の不倫をイジりまくるたけしの暴走を止めるため、タカは是枝監督の頭をスリッパで叩いたのだろう。とはいえ是枝監督は、米アカデミー賞やカンヌ国際映画祭などにも何度も呼ばれている世界的な映画監督。「ひょっとして怒ってないかな?」と心配になり、授賞式後に「大丈夫でした?」と聞いたところ、笑顔で「光栄です!」と答えてくれた。

 実は是枝監督は、過去に東スポ映画大賞を何度も受賞し、毎年のように出席している。「代役でも何でも構わないので、毎回呼んでいただきたい」と言ってくれた。

 もう1人、タカにスリッパで頭を叩かれたのが、日本芸能賞を受賞したゆりやんレトリィバァだ。こちらは登壇すると「上戸彩です…。間違えました、すいません。広瀬すずです。調子乗っちゃって!」とボケまくった。

 これにタカは笑いながら「一応、ツッコんでおきますね」とスリッパで叩いたのだが、こちらは芸人の後輩だけに「本当にうれしいです」と笑顔。さらに叩かれた場所を指さして「もう、ここは洗いません!」と大喜びだった。

 たけしと受賞者のやりとりがクローズアップされがちだが、授賞式を盛り上げている陰の立役者がタカなのは間違いない。

(文化部デスク・藤野達哉)