吉本興業「有事」に見られる変わらぬ威圧的態度

2017年01月12日 12時00分

 昨年暮れに本紙でも報じたが、吉本興業の執行役員が報道陣を威圧するという、何ともあきれた騒動があった。

 これはお笑いコンビ「NON STYLE」井上裕介の“当て逃げ事故”について、吉本興業の大崎洋代表取締役社長を取材しようとした報道陣に、東京本社に勤務する男性の宣伝担当執行役員が、公道にいる記者に対し体を押しつけて威圧してきたもの。

 さらに「もう帰ってください! 帰っていただかないと、会社の上司に連絡しますよ」と脅迫めいた発言まで繰り出した。揚げ句の果てに報道陣をプレスルームに入室するよう促した上、出口に別の関係者を配置して“軟禁状態”にしてしまったのだ。

 自社のタレントの当て逃げという不祥事の対応にもかかわらず、報道陣を威圧するとはあきれるしかないが、現場で威圧された本紙記者から報告を受けた時に私が感じたのは「吉本は、昔と変わってないんだな」ということだ。

 私にも似たような経験がある。2010年1月、歌手・安室奈美恵と「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳の交際が発覚した時だ。

「淳が所属事務所に入った」との情報を聞き、1月7日午後2時ごろから、東京・新宿の吉本興業東京本社の前で張り込んだ。報道陣がどんどん増えてきた午後4時ごろ、吉本の担当者が出てきて「淳はコメントしませんので、本日はお帰りください」と説明した。だが淳本人が中にいるのに帰るわけにはいかない。私を含めた報道陣が帰らずに待っていると、担当者は何度も「もう帰ってください」「お引き取りください」と頼み続けた。

 それでも報道陣が帰らないでいると「警察を呼びますよ!」と言いだした。しかも実際に通報したようで、本社前に警察官が現れたが、報道陣は本社の敷地外の公道に立っているだけで法律を犯しているわけでもなんでもない。

 そのことは警察官も当然分かっているから、報道陣を排除するわけにはいかない。結局「通報があったので来ましたが、あんまり騒がないようにお願いします」とだけ言い残し、警察官は去っていった。

 帰らない報道陣に業を煮やしたのか、吉本は現場にいるマスコミ各社に連絡し、現場から帰るよう要請するという手段に出た。もちろん帰る社はなかったが、これは昨年暮れに執行役員が言った「帰っていただかないと、会社の上司に連絡しますよ」という脅迫めいた言葉と全く同じ。「吉本は変わってないな」と感じたのはそのためだ。

(文化部デスク・藤野達哉)