Jリーグは2017年シーズンから、英パフォーム・グループと10年間で総額2100億円にもおよぶ放映権契約を結んだ。巨額資金を手にすることになったJリーグは、各クラブへの配分金などを大幅にアップ。リーグ優勝すれば、賞金や強化配分金で約20億円を受け取れるようになる。

 リーグ側はこの資金を使って各クラブにチーム強化を求めており、世界的な外国人選手の獲得などが期待されている。1993年にJリーグが発足した際に、サッカーの神様ことブラジル代表MFジーコ氏やドイツ代表でW杯優勝のFWピエール・リトバルスキー氏など、世界中のスター選手が参戦し大ブームのきっかけとなったからだ。

 しかし、この方針についてサッカー界では懐疑的な意見も多い。元日本代表選手は「いい外国人選手が入っても、一時的でしかないでしょ。当たり外れもあるし、日本に何かを残せる選手は少ないかも。中国のように超一流を取れるほどの資金力はないし、結局は無駄金になりかねないよ」と話した。

 Jクラブにすれば、20億円という金額はとても大きいもの。だが、1月に中国1部リーグの上海申花に移籍した元アルゼンチン代表FWカルロス・テベス(32)は年俸だけで約40億円。Jクラブの資金力では中国サッカーのように、世界へインパクトを与えることはできないだろう。

 ならば、イタリア1部リーグのACミランで出番のない日本代表FW本田圭佑(30)やインテルの同DF長友佑都(30)、ドイツ1部リーグのドルトムントで苦戦する同MF香川真司(27)の獲得に動くのも一つの手ではないだろうか。欧州でも知名度のある選手がJリーグに戻ってくれば、彼らを通じて世界に日本サッカーを発信できるはずだ。

 しかも、そこそこの資金で外国人を取り、日本で活躍したとしても、すぐに中東クラブに引き抜かれてしまう。そうであれば、欧州でプレーする日本選手を獲得したほうが、その技術や考え方などが後輩たちにもしっかりと継承でき、クラブの“財産”になるのは間違いないだろう。

 もちろん欧州トップレベルでプレーしている日本選手がJリーグに戻る決断をするかは微妙なところだが、彼らが欧州で得ている報酬は保証できる。2000年に東京Vが欧州でプレーする全盛期のMF中田英寿氏の獲得に動いたことがあったように、少なくともトライする価値はあるのではないだろうか。

(運動部デスク・三浦憲太郎)