他球団からお呼びが掛かった某コーチの告白

2017年01月02日 12時00分

 プロ野球のシーズンが終了するとスポーツ各紙は来季へ向けた人事を一斉に報じ、ストーブリーグに突入する。監督はもちろん、コーチには誰が就くのか——それを探る糸口は、たいがい監督やフロントと仲のいい人物や、大学、高校などの先輩後輩というケースが多い。なかには「ゴマすり」と周囲からやゆされながらも、それが実を結ぶことがある。

「手腕を見込んで」「手腕を買って」というケースもあるにはあるが、正直「なんでこの人が」という人事は今も少なくない。

 先日、ある球団の打撃コーチと話す機会があった。現役時に所属したチームではないが、当時の球団幹部とのパイプもあり、数年前にめでたく指導者デビューとなった。

 決して派手ではなかったが、現役時は勝負強さが光った職人肌。だからだろうか、何でもかんでも教え込む、押しつけることはせず、とにかく観察して各選手の長所短所をインプット。迷ったらポロッとヒントだけ教え、あとは納得がいくまでとことん付き合う、そんな人望のあるコーチになっていた。

 話している途中も、プロ入り間もない若手があいさつし、通り過ぎるなり「おい、もう上がるのか? 時間あるなら、ちょっと(打撃練習)やっていくか」。個別練習が決まると「あいつの弱点は○○と△△なところなんですよ(詳細失念)」とスラスラ出てきたときには「もう、すっかりコーチだな」と感心してしまった。

 話の中で、以前に他球団からもコーチ就任を打診されていたことを明かした。オファーを出したのは現役時代に対戦経験があった某一軍コーチで、特に“学閥”などの人間関係はまったくない人物だという。確か、連絡先も分かっていなかったのだと思う。突然の連絡を受け不思議に感じた彼が「なんで僕なんですか?」と聞くと、こんな答えが返ってきたそうだ。

「現役時代に対戦した中で一番いやらしい、打ち取りづらい打者がお前だった。そういうヤツは何かしらの理論を持っている。そういうのをウチの若いのに教えてくれないかと思った」——こういう形でも「お呼び」がかかることがあるんだなと、なんだか新鮮味を感じてしまった。

 巨人・高橋監督や阪神・金本監督など、40代の監督が現れ、指導者にも世代交代が進んでいる。そんな時代の流れを歓迎しつつ、こうした人事が“真っ当な形”で行われてほしいものだなと、ふと思った。

(運動部主任・佐藤浩一)