台湾ゲイの超進歩的な愛のカタチ「ポリガミー」

2016年11月10日 12時00分

 台湾・台北の性的マイノリティー(LGBT)パレード「台湾同志遊行」を毎秋見ているが、今年(10月29日開催)は勢いが違った。春に誕生した民進党政権がゲイフレンドリーで、近い将来、台湾は同性婚OKになりそうだからだ。

 今回初めて、台北市政府(市役所)がLGBTの象徴であるレインボーフラッグを掲げたり、“空の玄関”のある桃園市が市政府庁舎を虹色にライトアップしたりといったニクい演出も。

 台湾初の女性国家元首となった蔡英文総統(60)は、昨年のパレードのとき同性婚支持を表明したが今回、改めて「身分は(野党から台湾のトップに)変わったが、私の信じる価値は変わらない」と明言。与野党の枠を越え、同性婚法案作りに取り組んでいると明かした。司法省が昨年行ったネット世論調査では、7割以上が同性婚を支持。合法化への流れは止まらない。

 パレードは今年で14回目。当初は1000人規模で参加者の多くが顔を隠していたが、今や8万人規模で顔出しNGなんてほとんどいない。地元LGBTの意識はこの10年余りでかなり変わった。

 LGBTが多く暮らす台北で、彼らは街に溶け込んでいる。ゲイバーの集まる大広場「紅楼」が地下鉄駅前にある“台北の新宿”西門町かいわいにはウジャウジャいる。やはり大柄のガチムチ系が目立つが、ボーイッシュな女の子たちの多さも日本の比じゃない。もちろん、誰も変な目で見ない。そして日本と明らかに違うのが、カップル率の高さだ。

 30代以上のそこそこイケてる中年ゲイは、だいたい彼氏持ちではなかろうか。高層マンションで1人暮らしの48歳と、親と同居の45歳の友人カップルは、付き合って16年目。48歳同士の同居カップルは交際歴21年で、片方の母親の世話を彼氏がみている。アジア圏で有名なクリエーターと会社社長の50代カップルは、しょうしゃなマンションの広い部屋で事実婚状態…などなど。

 そうしたカップルたちが世代や嗜好などを共通項に仲良くなり、友達グループができている。グループ間の交わりはあまりなく、内輪の結束は固く“和”を大事にする。その中にいる若い世代は、いわば“勝ち組”の年上カップルへの憧れもあるだろう。だから、同性婚実現を長年見据えてきた台湾ゲイの間では、自然と人生を共にできる彼氏をつくるという“ゴール”を目指す風潮ができているように思う。

 台北には東京ほどハッテンバ(ゲイ風俗)が多くないのも、浮気の虫がつかないという点ではむしろ好都合。今や世界的にゲイの間ではスマホの出会い系GPSアプリが主流だが、台湾はゲイコミュニティーが狭く、もともとゲイはゴシップ好きとあって浮気もすぐバレる。色恋沙汰や言動がもとで仲間から外されたり、グループに入れない友人が何人かいるが、彼らの孤独なゲイ生活ったらない。

 ただ、台湾ゲイの間である程度理解されているのが“ポリガミー”だ。恋愛や結婚は1対1が正しいという考え方(モノガミー)に対し、相手が複数いてもOKという考え方を英語でこう呼ぶ。

 前出の48歳と45歳のカップルには以前、若い“3人目の彼氏”がいた。2人が別々の場所で知り合い、好きになってしまったのが同じ子というドラマチックな始まりだったが、長くは持たなかった。また27歳のイケメン彼氏とラブラブの46歳からは「以前、彼氏に新しい彼氏ができて3人で付き合ってたけど、今の彼氏は自分だけ。僕が勝ったの」と自慢された。

 台湾人の彼氏がいる日本人を好きになり、3人で付き合い始めたが、その日本人のカレを独占したくても2人の間には割って入れず結局挫折した日本人もいた。ただうまくいってるケースもあり、“本妻”以外の彼氏が2人、3人といて“ファミリー”を築いている50代のモテおやじも何人か知っている。

 同性婚法案には、財産や不動産の相続、代理親契約などの権利も盛り込むことが検討されているというが、さらにポリガミーまで踏み込めたら画期的。なにせ、全ての州で同性婚OKになった米国でさえ「ゲイが次に目指すのはポリガミー」(地元ゲイ)と、まだ公に認められていないのだから。

 とにかく、台湾ゲイの愛のカタチは進んでいる。彼らのように「彼氏つくって結婚して、一生を共に…」なんて発想自体、日本のゲイにはまだほとんど根づいていない。

(文化部デスク・醍醐竜一)