一気に過熱したものは冷めるのも早い——というわけなのか、「ポケモンGO」も、もう飽きてしまったという声をチラホラ聞く。確かにサービス開始直後の大フィーバーぶりと比べたら、いくらか落ち着いてきた感じはする。でも、いまだに大きな公園や繁華街に行くと、相変わらず多くの人たちがスマホの画面とにらめっこしながら、モンスターのゲットにいそしんでいる。そもそも「ポケモンGO」は、そんなにすぐに飽きてしまうようなゲームなのだろうか?

 自分が道を歩いているとスマホ画面にモンスターが出現し、それをモンスターボールでゲットできるという仮想現実。それは間違いなく画期的だし、スマホを使った新鮮な体験としてハマった人も多いだろう。でも新鮮さというのは時間がたつにつれて薄れてくる。だから、それだけだったら遅かれ早かれ飽きてしまうかもしれない。

 だが「ポケットモンスター」というゲームの大きな魅力は他にある。そうでなければ1996年にゲーム第1作が発売されてから20年間も人気を保ち続け、全世界でシリーズ累計2億本を軽く突破するなんてことはなかったはずだ。

 ゲームソフトとして発売されているポケモンシリーズは、ジャンルとしては「ドラクエ」などにも通じるRPG。世界を冒険して、その道中でポケモンを捕まえて育て、バトルを繰り広げる。一応、ちゃんとストーリーがあるので、最後までクリアすれば物語はエンディングを迎える。ところがこのゲームの本領発揮というか最大の魅力はクリア後にも延々と続く。それが「ポケモン図鑑」の完成を目指す、という目的だ。

 やったことがある人ならお分かりだと思うが、とにかくこの図鑑、ちょっとやそっとでは完成しない。友達同士でポケモンを交換したり、イベントなどで配信されるレアなポケモンを逃さずにゲットしたり、と相当に頑張らなければ図鑑のコンプリートは難しい。それだけに完成したときの達成感もひとしおだ。ちなみにポケモンは新種が次々に追加されているが、私がある時点までの図鑑をコンプリートさせるのには10年以上かかった。

「ポケモンGO」は、ストーリーがないだけに主な目的は図鑑の完成となる。ゲームソフト版の「ポケモン」シリーズで図鑑を埋めていく楽しさを知っている人なら、「ポケモンGO」もまずは図鑑完成まで飽きることはないだろう。

 さて、その図鑑だが「ポケモンGO」では現在151匹で完成ということになっている。じゃあ、それが完成したら終わりかというと、そんなことにはならない。実はゲームソフトでは現時点で700種類以上のポケモンが登場している。11月に最新作「サン・ムーン」が発売予定なので、さらに増えることは確実。つまり、151匹というのはまだほんの一部であり、今後もアプリのアップデートで間違いなく新ポケモンが追加されていくはずだ。

 ポケモンの種類が増えるだけでなく、現在はまだ実装されていないユーザー同士のポケモン交換機能や、ジム以外の場所でも近くにいるトレーナーと対戦できる機能も順次搭載されるという。

 というわけで「ポケモンGO」、まだまだしばらくは飽きさせてくれそうもないのだった。

(文化部デスク・井上達也)