人生二度目の「マザー・フ○○カー!」

2014年12月22日 12時00分

 思わず友人とともに「はぁ~」と顔を見合わせた。「マザー・フ○○カー」とは英語で最大の侮辱用語であり、英語圏のメディアでは放送禁止用語ともなっている。

 直訳すれば母親と性行為をする子供――つまり近親相姦を意味する言葉だ。そんなアブノーマルなひと言を一人の女性から口にされてしまったのだから、私と友人はしばらくの間、非常に気分が悪かった。

 しかし実を言うと、この嫌な体験はこれが初めてではない。ずいぶん前にも米国で「マザー・フ○○カー」呼ばわりされ、ののしられたことがあったからだ。

 あれは2001年5月。ニューヨーク・メッツの取材でシェイ・スタジアムの客席コンコースを歩いていたら、「肩がぶつかった」と酔客の黒人男性に因縁をつけられてしまった。面倒なことはイヤだったのでこちらが必死に謝っても、相手はエキサイトする一方。その際に男性から発せられた言葉が「ジャップ! マザー・フ○○カー!」だったのである。

 ところが、その侮辱用語に対して敏感に反応したのが周囲を取り囲んでいたメッツファンの人たちだった。無関係だったのに数人のファンが「おいおい、それは言い過ぎだろう!」と間に割って入ってくれたことで、それから男性の怒りもトーンダウン。何とか事なきを得た。

 後で記者室に戻り、その時の一部始終を知り合いの米国人記者に話すと「マザー・フ○○カーなんて軽々しく言うもんじゃないよ。オレでさえ言われたことがないのに、日本人のキミがののしられるなんて、本当にレアケースだな」と同情された。

 相手が「マザー・フ○○カー」を使うとすればかなり逆上していることも考えられるだけに、その記者からは「それもあって周りのメッツファンは止めに入ってくれたのだろう。キミも気分は悪いだろうが、もう二度と言われることはないだろうから安心しろよ」とも言われた。

 しかし、それから約14年後。まさか再び同じ“口撃”を食らうとは夢にも思わなかった。ただ、二度も面と向かって言われたことで、これがとんでもないNGワードであることは他の誰よりも身に染みて痛感させられた次第である。

(運動部デスク・三島俊夫)