正体が確認できないから、UFOとUMAという単語の頭には未確認(Unidentified)のUがつく。本紙では数々のUFO、UMAを報じてきたが、中には正体が判明したものもある。

 オーブやUFO写真の多くはカメラのレンズ内のほこりだったり、レンズ内で光が反射するフレアやゴーストという現象だ。

 UFOとよく間違えられるものに、電飾凧がある。夜、上空数百メートルに飛ぶ、矢印の形や三角形にさまざまな色の光の玉が並ぶものがそうだ。

 米軍の演習場近くで見られるUFOは照明弾であることが多い。照明弾は打ち上げられた後、パラシュートがついて、ゆっくり降下する。それが複数個あると、まるでUFOフリート(編隊)のように見える。強烈な光は案外数百キロほど遠くにあっても、錯覚で近くに見えるものだ。

 昼に見えるUFOフリートの多くは風船。デモ行進や建物の落成式や結婚式などでたくさんの風船を空に放って、空高くまで上がったものも、知らない人が見るとUFOに見えてしまう。また、最近はメタリックバルーンという、光沢があって星形などの複雑な形状の風船もあり、特に勘違いしやすい。

 以上のものは、写真を見るだけで、ある程度判別できる。逆に、移動のための時間と聞き込みなどの労力をかけて取材しながら、正体が判明してびっくり→ガッカリしたものも、それはそれで印象が深い。

 佐賀県でカッパの写真が撮影され、本紙に投稿された。ちょっとピントがボケているが、確かに池の中から、カッパが顔を出しているように見える。私は勇んで撮影場所に行った。聞き込みをしたら、心霊スポットで肝試しの若者以外は寄りつかない不気味な場所だ。何とか、撮影場所を特定し、撮影者が立っていたであろう場所に自分も立ってみた。そして、池を見ると、カッパに見えたのは単なるクイだった。クイが風化し、木目が顔のようになり、クイの上部の平らな部分がカッパの皿のように見えただけだった。

 また、宮城県でツチノコが捕獲されたという情報が入った。当時、普及したての写メで送ってもらったら、ピンボケながら、まさに伝説のツチノコだ。ドキドキ、ワクワクしながら、急いで仙台に向かった。捕獲者の家を訪ねると「ほらほら、この虫かごに入ってるんです。ツチノコの赤ちゃんですよ。うちの庭にいたんです」と歓待してくれた。5メートル先からでも分かるが、スズメガの幼虫だ。捕獲者はスズメガの幼虫を知らなかっただけで、悪気はない。

 とはいえ、いい年した記者とカメラマンとUMA評論家の3人が、東京から新幹線で仙台まで行き、そこから在来線に乗り換え、さらにタクシーで行ったというのに、単なるイモムシだったとは、まさにびっくり→ガッカリだった。

 いまはケータイカメラの画質が向上し、誰でもメールで画像を送ることができるようになって、そんな空振りもなくなった。だが、代わりに「ひょっとしたらUMA、UFOじゃないか! 直接、この目で見たい!」というドキドキ感も味わえなくなってしまった。

(文化部デスク・三浦伸治)