メジャー2年目・松井に与えたヤ軍コーチの桁外れ高得点のワケ

2014年01月06日 12時00分

 日本からメジャーリーグの舞台へ、また1人の大物が海を渡る。昨季、前人未到のシーズン24連勝をマークして楽天を初の日本一へと導いた田中将大投手のことだ。その大エースが今オフ、球団からメジャー移籍を容認された。新ポスティングシステムの利用が申請され、早くも田中の代理人にヤンキースやダイヤモンドバックスの関係者が水面下で接触したと聞く。来月中旬から始まるメジャーリーグ各球団の春季キャンプで田中が一体、どんなデザインのユニホームを着ているのか。とても楽しみだ。

 それで思い出したのが、今からちょうど10年前の出来事。当時ヤンキースに所属していた松井秀喜氏が2004年のシーズン序盤戦を戦っていたころの話である。メジャー移籍2年目でようやく水に慣れ始めたゴジラは、どのぐらい活躍できそうか——。番記者を務めていた私は、ふと気になって首脳陣に質問をぶつけてみることにした。しかし、単刀直入に聞いても「グッド」や「ノープロブレム」といった答えしか返ってきそうもないので、それでは原稿にならない。

「そうだ! 今の松井は100点満点で一体、何点なのかを答えてもらおう」

 そう思ってヒザを叩いた私は早速、このシーズンから就任したばかりのドン・マッティングリー打撃コーチ(現ドジャース監督)にこう聞いた。

「How many points would you give Hideki out of a hundred?(100点満点でヒデキに何点与えるか?)」

 するとマッティングリーコーチは、けげんそうな表情を浮かべながら「何で私がヒデキに点数を付けなければならないんだ? 大体100点満点というのは何だ?」と「?」を連発。米国はテストの採点方法が日本のように100点満点となっているパターンは少ないそうで、他人の仕事ぶりを「ABC」のランク分けでなく得点で評価することも習慣としてないらしい。

 正直、頭を抱えた。「だから“例えば”の話なんですよ」とか何とか言いながら必死になって細かく説明しても、マッティングリーコーチは「ホワイ?」を繰り返すばかりで分かってもらえない。日本の事情に精通しているヤ軍関係者の助け舟を得て、ようやく30分後に何とか「OK」と言ってもらえた。

 ところが答えてくれたのは「557点」という桁外れの高得点だった。「いや、だから100点満点で…」と言いかけた私を“ストップ”のジェスチャーで制したマッティングリーコーチは、ナゼか勝ち誇ったかのように高笑い。そして、次のように口にした。

「ユーの新聞の記事は面白いネタでなければ、ダメなんだろう? 100点満点が日本で当たり前の採点方法ならば、面白くもなんともない。私が『557点』と答えれば、ベストなんじゃないのか?」

 この時ばかりは「一本取られた」と頭を下げた。田中が今季から所属する新天地にも、彼のような柔らかい発想を持つ投手コーチがいてくれることを願いたい。あるいはマッティングリー監督が指揮を執るド軍入団で再びリップサービスの恩恵にあずかれれば、もう“言うことなし”だ。

(運動部デスク・三島俊夫)