突風に水害と最近、巨大台風が日本各地で猛威を振るったが、10年前、そんな自然の脅威から米国・オハイオ州北部の民家を守った“守護天使”の写真を入手、当事者を取材したことがある。

 2003年7月8日未明、米五大湖の一つエリー湖ほとりのサンダスキーという町を猛嵐が襲った。100本近い木々が倒れ、多くの家屋や車を直撃。送電線がダウン、町じゅうが停電し電話も一時不通になった。

 地元民の自営業ジェリー・バウムさん(当時41)は午前5時ごろ、嵐の轟音で目が覚めた。窓を開けると、たくさんの木々が倒れているのを目の当たりに。損害保険の証拠用にと、バウムさんは自宅の被害状況を撮影した。ちなみに使ったのは35ミリレンズのコンパクトカメラ、キヤノン「オートボーイ LUNA 105」で北米製品名は「SURE SHOT 105 ZOOM」、フィルムは「Kodak MAX 400」の24枚撮りだ。

 フィルムを現像に出し、出来上がった写真を見てバウムさんは仰天。24カットのうち1カットにナゾの物体が写り込んでいたのだ。

「その物体は存在してなかったはずです。写真を撮った時、それは見えませんでしたから。レンズについたただの水滴じゃないかとも指摘されましたが、それは意味を成しません。1枚だけにしか写っていないのですから。24カット全て、5分以内に撮影したんです」

 超常現象を扱う全米人気ラジオ番組に送り、番組ホームページで紹介されたこの写真は大反響。バウムさんの元には全米のみならず世界中からメールが殺到した。

「ヤラセ写真じゃないかという皮肉めいたメールもありました。人々が懐疑的になるのは想像していましたが、どうしてこんな写真が撮れてしまったか、こっちが知りたいくらい。ネガにもそれは写っていますし、捏造ではありません」とバウムさんは記者に断言した。

 当初バウムさんはこの物体を「木の精霊ではないか」と思っていた。

「私には女性のように見えます。胸元には長方形の物体があり、おそらく盾ではないでしょうか? 実際、私の家には何の被害もなかったんです」

 だが海外の聖職者からは「この倒木は死んでいません、割れただけ。ですから、この物体は木の精霊であり得ない」との指摘があった。中には「神から十戒の書字板を授かったモーゼだ」という意見も。また海外の霊能者2人からは「この倒木に何らかの形でゆかりのある母と娘の霊が見える」と言われたそうだ。

 ただ、バウムさんにメールした人のほとんどは「ガーディアンエンジェル(守護天使)では?」との意見。本人も「息子の守護天使に違いないと私も信じています。当時、息子は木が倒れた場所のまさにすぐ下で寝ていたんです。とても重たい大木だったにもかかわらず、倒木によるダメージは外壁だけ。もっとヒドいダメージがあり得たのに実際はなく、息子はケガひとつしませんでした」と話していた。

 だとすれば、見たところなかなかの美人、しかもナイスバディーな守護天使だ。十戒の書字板(!?)で胸を隠すあたり、恥ずかしがり屋なのかもしれない。

(文化部デスク・醍醐竜一)