【デスク発ウラ話】超絶的に素晴らしい京アニの音楽

2019年08月01日 12時00分

 京都アニメーション(京アニ)に関する報道が、連日ニュースをにぎわせている。事件についてはあえてここでは触れないが、アニメファンでなくとも大きな衝撃を受けたことは間違いないだろう。

 報道の中で、京アニの作品がいかに素晴らしいか、特に作画のクオリティーについては何度も紹介されている。作品を見たことがなかった人も、そのハイレベルな画像に驚いたのではないだろうか。

 今回書きたいのは、ニュースでそれほどクローズアップされていない京アニの音楽についてだ。京アニ作品の主題歌やエンディングテーマ、挿入歌などには、“たかがアニソン”と侮れないものが山ほどある。というか、どのアニメも安易にJポップアーティストとのタイアップなどせず、あくまで作品の世界観を増幅させるような、作り込まれたものばかりなのだ。

 代表的なものを挙げるとすれば、まずは「らき☆すた」(2007年)の主題歌だった「もってけ!セーラーふく」だろう。超高速ビートのテクノファンクに乗せて、シュール極まりない破壊力を持った歌詞が、マシンガンのようなラップで連射される。それが、サビになると雄大さすら感じさせるメロディーが歌われ、一気に目の前の景色が広がっていく。アニソンどころか、日本の音楽シーンにこんな曲はなかったし、それ以降も生まれていない孤高の名曲だ。

「涼宮ハルヒの憂鬱」(06年)の主題歌だった「ハレ晴レユカイ」は、エンディングのアニメーションで繰り広げられた“ハルヒダンス”も一体となってカラオケの定番に。星野源の“恋ダンス”をはるかに先駆けていた。

 そして、アマチュアバンドを組む女子高生を激増させた「けいおん!」(09年〜)。バンドがモチーフのアニメだけに音楽作品もここからはたくさん生まれたが、アニメ第2期の主題歌「GO!GO!MANIAC」は、オリコン週間チャートで初登場1位を獲得。ちなみに「もってけ!セーラーふく」は5位、「ハレ晴レユカイ」は2位。アニソンは一般リスナーには届きにくい傾向があるが、これらの曲はチャート的にも大ヒットしているのだ。

 個人的に一番好きな曲は、「たまこまーけっと」(13年)の主題歌だった「ドラマチックマーケットライド」。かつての渋谷系(たとえばピチカート・ファイヴ)を ほうふつとさせる軽快なサウンドと美しいメロディーで、アニソンうんぬんは関係ないほど完成度が高い。

 9月6日から公開される映画「ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝」は、昨年テレビシリーズが放送された作品だが、このエンディング曲だった「みちしるべ」も涙腺が緩むようなバラードの絶品だった。

 事件の影響は甚大で、今後の京アニの制作体制にはいろいろと困難があるだろうが、必ずこれまでの偉業以上の素晴らしいアニメ作品を新たに生み出してくれると信じている。もちろん、その音楽も。

(文化部デスク・井上達也)