SKE48の大矢真那さん(26)が6月26日の公演で卒業することを発表した。「(SKEを)30歳までやる」と宣言していただけに、まさに青天のへきれき。「アイドルでいるうちは“ここで卒業するだろうな”とか不安にさせてしまうのは悪いなと思っていました。30歳までやると言えばファンの方も安心して思いっきり応援してくれるなと思ってウソついちゃいました。ごめんなさい」。ファンを気遣っての優しいウソがいかにもこの人らしかった。

 実は中京スポーツがSKEのメンバーの中で最も仕事のお願いをしてきたのが、大矢さんであった。2015年3月に中京競馬場で行われた「中京スポーツ杯予想会」をはじめ、高須クリニックの高須幹弥名古屋院院長、競輪の加藤慎平選手との座談会など、何度もイベントや取材で協力していただいていた。松井珠理奈、松井玲奈らと同じ1期生でSKE立ち上げから引っ張ってきたメンバーということも理由の1つではあるが、何よりもファンと固い絆で結ばれているという面でSKEの象徴的な存在だったことが大きかった。

「松井珠理奈が先頭に立ってグループを引っ張っているとすれば、一番後ろに大矢真那がいることでSKEらしさを守ってくれていた。まさに守護神です。安心感がすごくあるメンバー。大矢さんのヲタは9年間、一度も不安に感じたことはなかったでしょう」(加藤慎平選手)。「真面目で一見ぽわーんとしてるけど自分の意見をしっかりと持っていて、運営にも意見を言うギャップ。そして何よりスキャンダルとは無縁でクリーンなところは素晴らしいです」(高須院長)。大矢さんと一緒に仕事をした人たちのコメントからもわかるようにファンやスタッフ、関係者の誰からも“信頼”されていた。

 昨年12月に行われた取材の中で「恋愛禁止」の話題になったことがあった。「大矢さんは大丈夫ですか?」。ぶしつけではあるが直球をぶつけてみた。「私は大丈夫です」。間髪を入れずに笑顔で打ち返された。もちろんアイドルなら誰でも同じような返事をするだろうが、その場にいた全員が「そりゃそうだろうな」と自然と納得してしまっていた。それこそが、アイドル・大矢真那の“すごさ”なのだと思う。

 5月に発売されたSKEの公式ムック『100%SKE48 Vol3』(白夜書房)の中でも大矢さんは後輩メンバー3人に対してアイドルとしての信念というか、心意気、そして本物の哲学を語っている。その言葉はアイドルファンならずとも一読の価値アリ。周囲の誰からも信頼を寄せられる、そんなアイドルを応援できたファンはきっと幸せだったはずだ。

(中京編集部長・宮本泰春)