【デスク発ウラ話】表舞台から姿を消した金正恩の実妹の行方

2019年05月16日 12時00分

 北朝鮮が今月4、9日に新型とみられるミサイルを立て続けに発射し、再び朝鮮半島情勢が緊迫に包まれてきた。同時に北朝鮮ウオッチャーの間で関心が持たれているのが金正恩朝鮮労働党委員長の実妹である金与正党第1副部長が表舞台から姿を消したことだ。

 与正氏は2年前に党政治局員に抜てき。以後、正恩氏に付き添い、実務の調整や服装のコーディネートなど秘書的な役割を演じていたが、先月の訪ロでは姿が確認されなかった。

「粛清されたのか」「また出産で休んでいるのでは」「極秘に別のミッションに携わっている」などのウワサが飛び交うが、専門家は「再教育を受けているのでは」との見方を示している。

 与正氏は2月にベトナム・ハノイで開かれた2回目の米朝首脳会談で、事前調整に当たっていたが、事実上の交渉決裂で、トランプ大統領は昼食会をドタキャン。正恩氏は何の成果も得られず、大恥をかかされたとあって、この責任を取らされたのではないかというのだ。

 トップの逆鱗に触れての再教育は過去にも見たことがある。2005年のサッカー・ドイツW杯予選で日本が北朝鮮と対戦する直前、中国で行われた北朝鮮代表の合宿に張り付いたことがあった。チームを率いるユン・ジョンス監督は過熱する日本の報道陣にたびたび激昂し、投石まがいの威かく行為に出たこともあった。

 結局、W杯出場を逃したユン監督は、炭鉱労働の強制収容所に送られたのではないかとの話を聞いた。クビだけでは済まない事態が待ち受けていたとあって、暴挙に出たのも無理はなかったと後にうなずいたものだ。

 ただ、北朝鮮の伝説的ストライカーでもあったユン監督は11年に再び代表監督に返り咲いた。北朝鮮でも余人を持って替えがたい場合は再チャレンジの機会が与えられることを証明したともいえる。(14年に同監督は暴言を吐いて、1年間出場停止処分に…)

 冒頭の与正氏はどうなるのか。専門家は「更迭、政治的(思想的)な再教育で、自宅軟禁程度にとどまるのでは。ただ、金正恩体制となって、おじの張成沢氏が銃殺され、異母兄の金正男の暗殺も命じたとされるだけに実の妹でもどうなることか」。与正氏の動向が注目される。

(文化部デスク・小林宏隆)