欧州チャンピオンズリーグ(欧州CL)はいよいよ佳境に入った。6月1日の決勝(日本時間2日未明)はとても楽しみである。欧州には関係ないが、令和最初のチャンピオンがどのチームになるか注目したい。

 で、自分が最初にこの大会に注目したのはいつなのか、思い起こしてみると、最初にチャンピオンズカップ(欧州CLの前身)の決勝をテレビ観戦したのは1979年だった。決勝のカードはノッティンガム・フォレスト(イングランド)対マルメFF(スウェーデン)。今にして思えば、信じられないほど地味なカードだ。

 最近の欧州CLでは決勝まで勝ち進んでくるチームといえば、スペインかイングランドか、イタリアかドイツのビッグクラブと相場が決まっている。しかし、この時の決勝はN・フォレストという、最近でいえば岡崎慎司が所属するレスターのような小クラブと、国内では屈指の名門とはいえ、世界的にはほぼ無名のスウェーデンのクラブの対戦。試合内容は全く覚えていないが、多分退屈だったのだろう(1—0)でN・フォレストが優勝)。

 チャンピオンズカップ時代には意外なチームが勝ち進む可能性があった。このころは欧州各国のリーグチャンピオンに本戦出場資格があり、例えばマルタやルクセンブルクといった小国のリーグチャンピオンにも本戦の出場資格があった。大会はホーム&アウェーのトーナメント戦で、戦い方次第で弱小クラブがビッグクラブを食う可能性もあったのだ。

 しかし、欧州CLとなった現在は「マルメFF」のような奇跡が起こる可能性は皆無だ。その一因はEU圏内の移籍を自由にした「ボスマン判決」(95年)。これにより、それまで3人だった外国人枠はEU圏内の選手は対象外とされ、豊富な資金を持つビッグクラブにスター選手が集中するようになった。加えて、UEFAのランキング制が採用されると、弱小国は本戦前の厳しい予選を勝ち抜かなければならなくなった。

 2016年のセリエAインテル対ウディネーゼ戦では、先発にイタリア人選手選手ゼロというのがニュースになったが、欧州CLでも金にモノを言わせたビッグクラブが勝つ…という流れがずっと続いている。

 もちろん、ワールドクラスの選手が揃ったクラブ同士の高いレベルの戦いは面白い。しかし、その一方で弱小クラブにとって、ほとんどノーチャンスという現状にはロマンが感じられない…。そう思うのは自分だけか。

(編集顧問・原口典彰)