【デスク発ウラ話】ロス疑惑の三浦和義さん 普段の振る舞いと自殺のギャップ

2019年04月04日 12時00分

 故三浦和義さん(享年61=2008年没)といわれて連想するのは「ロス疑惑」だろう。1981年、米ロサンゼルスで三浦さんの妻が何者かに銃撃され、自らも足を負傷。ところが、84年に「週刊文春」が「疑惑の銃弾」と題し「保険金目当ての殺人である」と報じて、日本中が大騒動になった。

 その三浦さんを私が知ったのは、映画「コミック雑誌なんかいらない!」(86年)だったと思う。故内田裕也さんが芸能リポーターに扮し、事件や事故、騒動などを直撃リポートするのだが、実際に起こったことをモデルにしているため、まるでドキュメンタリーを見ている錯覚に陥ったのを今でも覚えている。当時の過激な芸能マスコミを知る上でも非常に興味深い。

 中でも三浦さんがロス疑惑のまさに当事者として登場したシーンは鮮烈な印象だった。内田さんがテレビカメラマンを率い、三浦さんに「ロス疑惑は無実なんですか?」と直撃する。それに対し、三浦さんは「あなた方は疑惑、疑惑と言うけど、警察官なんですか。大体、誰の許可を得てここに入ってきてるんですか」と不快感をあらわに。

 内田さんが「いや、ジャーナリストの使命としてですね…」と食い下がっても「ただの商業主義でしょ。あなた方がいい加減にやっていることに、なんで私が答える義務があるんですか。しかも、こうやって話しているときでもカメラ回しているでしょ!」と有無を言わさない。最後はマイクを払いのけるや、内田さんの顔に飲み物をぶっかけて追い出してしまう。迫真の演技というか、ほとんど素だと思うが、私は画面にクギ付けになってしまった。

 東スポに入社した数年後、私はある関係者から三浦さんを紹介される。まさに目の前の人物は、かつて映画で見たその人だ。独特の風貌で、怖くはないのだが、異様なオーラをまとっていた。

 そして私の名刺を見るなり「東スポさんともいろいろありましたねえ」とさっそく“ジャブ”。その後、ランチを食べることになり、近くの小じゃれたカフェに入ることに。すると、ただならぬ雰囲気を感じとったのだろう。周囲のお客さんたちが次々と席を立つので、私は大爆笑。「いや~、そりゃそうですよ。いつ警察が踏み込んでもおかしくないですからね」「お客さんは銃撃されるかもと心配になったんでしょう」「疑惑のランチですね!」などと軽口を叩くと、三浦さんが「お前はもうメシ食わんでいい!」とプンプンで、私は「冗談ですよ、冗談!」と慌てるのだった。

 それから1年後ぐらいか。三浦さんがサイパン島で米捜査当局に逮捕、そしてロサンゼルスに移送後、留置施設で自殺してしまう。その報を聞いて驚いたのは言うまでもないが「はて自殺するような人物だったかなあ」と思わずにはいられなかった。自分を攻撃してきたマスコミを徹底的に訴え、何度逮捕されても己の潔白を訴えてきたからだ。その強い執着と自殺がどうにもつながらない。普段の生活でも「週に1回はニンニク注射を打ってるよ。元気になれるからね」と意気軒高だった。

 もっとも、突発的な衝動にかられないとは絶対に言い切れないし、逮捕されたのが米国だったため絶望した可能性はあるが…何というか、どこまでもミステリアスな人ではあった。

 それにしても、この業界にいるといろいろな人に会うものである。

(文化部デスク・土橋裕樹)