【デスク発ウラ話】イチロー“独特のオーラ”健在

2019年03月18日 12時00分

 レジェンドのプレーに日本中が一喜一憂した。マリナーズのイチローが17、18日に東京ドームで行われたプレシーズンゲーム・巨人戦で2戦連続の先発出場。2試合とも3打数ノーヒットに終わり、これで米国でのオープン戦から数えると実に24打席連続無安打となってしまった。超満員に膨れ上がったスタンドもため息の連続だったとはいえ、18日の試合で見せた“レーザービーム”のようにキラリと光る「さすが」のプレーには感嘆の声に包まれたシーンもあった。

 確かに自慢の打撃に陰りが見えている点は隠しようがない。だがイチローも、もう45歳。今年10月には46歳を迎える。いくらスーパースターといえども加齢による衰えがやってくるのは、当たり前の話だ。ただ、何だかんだと言われながら今現在もこうやってメジャーリーグの舞台で戦っている。それだけでも称賛に値すると思う。きっと、こんな選手はもう二度と現れまい。

 2006年のシーズン中、確か5月ごろだったと記憶している。シアトルのセーフコ・フィールドでマリナーズの試合を取材した際、クラブハウスにいたイチローに初めてあいさつさせてもらった。それまでマリナーズ側を取材する機会がほとんどなかったものの、この時はメディアも少なく本人に名刺を渡すチャンスだと思って意を決した。
 イチローは、対メディアに関してかなり厳しいスタンスを取る。いわば「近寄り難いオーラ」を漂わせているので、単独で話ができるケースは限りなく少ない。いや、皆無に等しいといってもいいかもしれない。それでもあいさつをしないのは明らかに不自然かつ失礼であると考え、ロッカー前にいたイチローに歩み寄った。

「すみません、ごあいさつさせていただきたいのですが」

 すると名刺を受け取ったイチローは、こう言った。

「あっ、はいはい。おっ、東スポさんですか! わざわざご苦労さまです。イチローです。こちらこそよろしくお願いします」

 完全に拍子抜けだった。身構えていた自分が思わず恥ずかしくなるぐらい、非常に丁寧な対応で驚かされた。後で聞いたところイチローはきちんとあいさつすれば、むげにするようなことは絶対にしない性格の持ち主だという。

 しかしながら、いざ「取材」という形になるとイチローの対応はガラリと変わる。自分も真剣に戦っているのだから、メディアの人たちも同じように真剣に向き合ってほしい――。そういう思いがあるからこそ、あえて「近寄り難いオーラ」を放っているのだろう。

 あれから13年近くがたち、かなり久しぶりにイチローを取材現場で目にしたが、その独特なオーラはまだまだ健在だった。20日に東京ドームで行われるMLB開幕戦(対アスレチックス)は先発予定。昔と何ら変わりない雰囲気を漂わせているからこそ、打棒で劇的な復活を遂げる姿にも期待したい。

(運動部デスク・三島俊夫)

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