【デスク発ウラ話】アジア旅行で体験した異文化交流の面白さ

2019年03月21日 12時00分

 韓国は初めてという中華系マレーシア人の友人たちと、この2月にソウルで合流した。静電気のビリッというのも生まれて初めての経験らしく、ホテルでエレベーターのボタンや部屋のドアノブを触るたび、とんでもなく怖がっていた。シンガポールから来たグループは、あまりの寒さで到着早々体調を崩す友人が続出し、旅行どころではなかった。

 またタイのパタヤビーチで昨夏、中国各地の友人グループと海鮮バーベキュー食べ放題に行ったときのこと。エビが好きな瀋陽の子が有頭エビを山盛りで持ってきたはいいが、「中国人はエビの頭食べないから」とテーブルにエビの頭の山ができた。この正月、バンコクの海鮮レストランで上海の小金持ち集団にメシをおごってもらったときも、高そうな大小さまざまなエビやカニを注文したが、ミソが入った頭の部分は「俺ら食べないから」と全部私に回ってきた。

 LCCで安く行ける近場アジア旅行での話だが、外国人との交流はホント面白い。“どうでもいい新発見”の連続だ。共通の趣味や、見た目や性格などお互い好きなポイントが何かあれば、自然と仲良くなれる。SNSもあるし、友達の輪はどんどん広がる。何より、年齢や職業に関係なく遊べるのがいい。

 年を気にするのは、日本人と韓国人ぐらい。2月のソウルでは、中国人の子が「友達になった韓国の子から、最初のあいさつでいきなり『いくつ?』と聞かれてさぁ」と驚いていた。北京の友達に昔聞いた話だと、中国人は何となく相手の年齢が分かればよくて、友達関係で年齢は大して重要じゃない、だから中国人同士の会話は年上ともほとんどタメ口なんだとか。

 海外旅行するくらいの生活レベルだから、地方都市から来た中国人でも、食べカスを床に捨てたりはしない。近年は、中国の若い小金持ちとよく遭遇するが、彼らはむしろ育ちがよく、マナーもちゃんとしている。ただ、どのアジアの国の友人たちも割と適当で、たばこの吸い殻はポイポイ捨てるし、待ち合わせしても10分、20分は平気で遅れて来る。そんなアバウトさは、慣れるとむしろ心地いい。

 並んで歩くときのスピードやお互いの距離感が、国によって微妙に違うのも、長年のアジア旅行で体感した面白さだ。また昔と比べ、鼻毛が伸びっぱなしとか、ほくろから毛が伸びたままとか、口臭に気を使わない中国・台湾人は随分減ったように思う。むしろ男でも身だしなみを気にする若者は増えていて、上海のある若者は日常的にファンデーションを塗り、眉毛を描いていた。韓国の若者はだいたい、スキンケア用品を入れたポーチをお出かけグッズとして持ち歩いている。

 そんなどうでもいい情報は、見て、感じて得られるが、じゃあコミュニケーションを取るのはどうするか?

 遊びの旅行なら、中卒レベルの英語、初歩的な英会話だけでなんとかなる。アジア人は英語力にばらつきがあり、第2母国語が英語の国の人でもアジアなまりがあって聞き取りにくいし、学校でちゃんと英語を勉強してこなかった人はカタコトしかしゃべれない。最大公約数を取れば、いかに簡単な単語、文章の英語で伝えられるかがベスト。そもそも「初めまして」で始まる会話で、込み入った話題なんてまず出ないから、相手が何を言ってるかは、何となく分かれば事足りる。

 とにかく、気後れせず話しかけて、グイグイ人の輪に入っていくのが大事。いざというときは、スマホの翻訳アプリに頼ればいい。大昔は、語学本片手にメモとペンで筆談したり、身ぶり手ぶりで話すしかなかった。住所交換して、旅先で撮った写真や季節の便りを送り合うようになっても、そのうちフェードアウト。そのころと比べたら、インターネットが登場し、メールのやりとりができ、さらにスマホが進化しSNSで半永久的なつながりができ、国際交流は断然しやすくなった。

 過去の歴史や国同士のケンカがしょっちゅうニュースになるが、それはあくまで国対国の問題。市井の人々は、どの国もそんなに悪くない。むしろ平和を求める時代の移り変わりとともに“人間の質”は良くなってきているように思う。それをなんとなく体感できるのも、異文化交流の面白さだ。

(文化部デスク・醍醐竜一)