昨年8月に日本ボクシング連盟の会長を辞任した山根明氏を先日、インタビューする機会があった。昨年、猛烈なバッシングを浴びる騒動になった山根氏は、そのきっかけとなった内部告発に対しては、あのこわもての顔で怒りをあらわにしていたが、その一方でふっと優しい顔になるひと幕もあった。

 それは山根氏が会長在任時、ボクシングにチャレンジし話題になった「南海キャンディーズ」の山崎静代、そう、しずちゃんの話になった時だ。残念ながら夢はかなわなかったが、ロンドン五輪出場を目指していた彼女を山根氏はサポートしてきた。

「専属トレーナーだった梅津(正彦さん=2013年に死去)が『よろしくお願いします』と言ってきたんで、引き受けたんです。真面目な子で、印象に残ってます。五輪には出られなかったけど、結果的にアマチュアボクシングの普及にものすごく貢献してくれました」

 しずちゃんが大阪に帰ってきた時には、2人で一緒に食事もしたという。「その後にカラオケ行って1?2時間歌ってね。それからしずちゃんの実家まで僕が運転して送りましたからね」

 ロンドン五輪出場をかなえられなかったしずちゃんは、リオデジャネイロ五輪出場を目指し練習を積んだが、体力の限界を理由に2015年10月にボクシングからの引退を表明。引退会見には山根氏も同席した。この場でしずちゃんは、山根氏に感謝の言葉を述べた。

 ただ、昨年の騒動で山根氏が猛バッシングを浴び、窮地に陥った時、しずちゃんがコメントすることはなかった。だが山根氏は「あんな大騒ぎになったら、そりゃビビりますよ」と、しずちゃんに理解を示した。

 また、山根氏はもう一人、意外な芸人との関係を明かした。本社制定の「第28回東京スポーツ映画大賞」と同時開催の「第19回ビートたけしのエンタテインメント賞」話題賞に輝き、2月24日に行われた授賞式に出席したが、この場で日本芸能大賞を受賞した笑福亭鶴瓶と35年ぶりに再会したという。

「鶴瓶さんは大阪の浪速高校の出身で、赤井英和の先輩だったんやけど、鶴瓶さんも高校でボクシングやってたんですよ。授賞式で会った時『鶴瓶さんもボクシングやってたんですよね?』と言ったら『いや?、ちょっとだけ』と言ってましたけど」

 先日発売した初の自叙伝「男 山根『無冠の帝王』半生記」(双葉社)は好調な売れ行きだという。2月10日には、日本ボクシング連盟が山根氏を除名処分にすることを決めたが「痛くもかゆくもない」と言う山根氏。今後、芸能界で活躍する姿に注目していきたい。

(文化部デスク・藤野達哉)