虎秋季キャンプで見た“変革” 金本監督発案の徹底したファンサービス

2016年11月28日 12時00分

 阪神・金本知憲監督(48)2年目の船出となった高知・安芸での秋季キャンプを取材した。

 早朝ウエート&一日1000スイングもの過酷ノルマが課された今回、高山ら若手ナインは何とか故障者もなく完走。いつもは辛口の指揮官がキャンプ総括で「(選手は)本当によくついてきてくれた。よくやったと思う。これは本当に本心。腹の中からそう思う。満点だ!」と“感激”したほどだったが、そんな中、記者が感心したのは連日疲労困ぱいでいるはずの若手ナインが懸命に「ファンサービス」を行っていたことだ。

 練習中はファンの差し出すサイン色紙にペンを走らせることはないが、空いた時間があれば、ファンが大勢いても笑顔でサインに応じる。「頑張ってください!」と声を掛けられれば「ありがとうございます!」。シンプルだが、こういったシーンがあちこちで見受けられた。

 極め付きは今キャンプ最終の日曜日となった11月13日夕方ごろ。マスコミの我々も入れない本球場の外野の芝生に中学生以下のファン全員を招き入れての大サイン会まで敢行。この時は野手全員が汗まみれ、泥まみれのユニホーム姿のまま応対した。

 昔からの阪神ファンは「長いこと、安芸で阪神キャンプを見てきたけど、こんなサイン会は初めて」と仰天。球団関係者によると「“ファンあってのプロ野球”という金本監督の発案」だという。鉄人も粋なことをやるなと思ったら、自らもスタンド席に顔を出して即席のサイン会を開催。ほかにも「今日はレディースデーですよ!」と女性ファン限定のサイン会なども行っていたり…。いずれにせよ就任1年目の昨年のキャンプではなかった、ほほ笑ましい光景だった。

 球団幹部の一人は「最近は選手が賢くなったというか、ファンへの意識や感謝を強めている。掛布二軍監督が率先してファンにサインしたり、大事にしたことも学んでいると思う」と目を細めていた。変われば変わるものだ。昔は、言うほど阪神の選手はサインをしなかった。

 記者が新人だったころ、阪神の選手にサインを断られ続けたファンの一人から、腹いせだろうか色紙を差し出され「不動心 大スポ いわさきまさのり」と書いたことをよく覚えている。今はそんなことはあり得ない。記者の名前が書かれたあのサイン色紙、今ごろどうなっているだろうか。

(運動部デスク・岩崎正範)