とにかくカープファンは熱い。本紙で随時掲載されていた広島カープのリーグV企画「広島カープLOVE著名人『旨酒をくみかわそう』」を担当して多数の鯉党著名人を取材する機会に恵まれ、率直にそう思った。

 何しろ、ほとんどの人が1つ質問をするだけでせきを切ったようにワーッと話しだす。ある人は「なぜカープファンになったのですか」というシンプルな問いに20分以上も延々と話し続けてエンドレスになりそうな勢いだったため、こちらが途中で次の質問を切り出して打ち切らねばならないこともあった。

 それでも、その人は「まだ話が終わっていませんよ。もうちょっと聞いていただけますか」。そう言われれば「すみませんでした。どうぞお続けください」と頭を下げるしかない。結局、その人は実に30分近くも「私がカープファンになった理由」についてほぼ独演会状態で説明してくれた。

 そういえば、この人とはまったく関係ないが、同じく取材に応じてもらったお笑いタレント・宇治原史規(ロザン)がこう打ち明けていたことを思い出す。

「昔はカープファンって、自分からなかなか言えないところがあったんですよ。だから、こういう時代になって皆、いろいろ思いの丈を話したいという気持ちはあるでしょうね」

 なるほど。長らくカープが暗黒時代に沈み、応援していたファンも不遇にあえいで肩身の狭い思いをしていた。しかしチームはようやく長いトンネルを抜け、やっと日のあたる場所で25年ぶりに栄光をつかんだ。ここまで耐え忍んできたカープファンが、今まで言いたくてもなかなか言えなかったことを胸を張って堂々とさらけ出せる時代がやってきたのだ。

 DeNAを相手にクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージを突破すれば、次に狙うは32年ぶりの日本一。もし頂点に立ったら、喜びに浸る鯉党著名人の方々に再び思う存分胸襟を開いていただきたい。

(運動部デスク・三島俊夫)