「もう日本は終わった」と感じた19年前のUAE戦

2016年10月13日 12時00分

 サッカーのロシアW杯予選で日本が苦戦を強いられている。全ては初戦のUAE戦(9月1日)の敗戦が原因だ。W杯出場をかけた戦いで最も苦戦したのはやはりW杯初出場をかけたフランスW杯最終予選だろう。あの時も、日本を絶望の淵に追いやったのがUAEだった。

 1997年10月26日、東京・国立競技場で行われた最終予選のUAE戦。この試合も主審が露骨なUAE寄りジャッジを繰り返した。先日のUAE戦はデジャビュを感じたものだ。日本は呂比須の強烈なミドルシュートで先制したものの、その後同点に追いつかれる。後半日本は圧倒的に攻め込みながら、そのまま試合終了した。

 この瞬間、自力2位の可能性が消え、残り2試合で初のW杯出場は遠のいた。サポーターは日本のふがいない戦いぶりに怒りが爆発。国立競技場の周辺には何千人もサポーターが怒りの声を上げながら日本代表に卵を投げつけるなど、暴徒と化した。カズにも罵詈雑言が浴びせられ、サポーターに対して食ってかかる一幕もあった。

 だが、最も鮮明に覚えているのは、競技場外の暴動をよそに一人グラウンドに立ちつくすある協会トップの姿だった。顔面蒼白で、「どうしたんですか?」と声をかけてもなんの反応もない。完全に目が死んでいた。この姿を見た瞬間「ああ、日本は終わったんだ…」と記者も感じたものだ。

 その後、UAEは自滅に近い形でチャンスを逃し、日本は残り2戦を連勝。イランとの第3代表決定戦を制し、奇跡的にW杯出場を実現したのだ。続く2002年日韓W杯以降、日本は比較的順調にW杯出場を決めてきた。

 しかし、今回の最終予選は19年前に近い危機的状況であると感じる。頼みの綱の本田、香川が不調(19年前はカズがそうだった)。これを劇的に変えるのも相当難しいように見える。

 とはいえ、まだまだあの時ほど追い詰められた状況ではないのが救いだ。

 日本は今や「W杯出場が当たり前」になっているが、UAE戦の苦杯はW杯出場の厳しさを思い出させるいい機会だった…後々そう思えるように願いたいものだ。

(編集顧問・原口典彰)