デジタル全盛時代にアナログレコードが大ブーム?

2016年07月14日 12時00分

 先日、都内の中古レコード店の前をたまたま通りかかったときのことだ。開店まで少し時間があるというのに、既に店の前には長い行列ができていた。何事かと興味が湧いたので、並んでいる人に聞いてみると、今日はレアなレコードの放出セールなのだという。この店は、CDよりも圧倒的にアナログのLPレコードやドーナツ盤の品揃えが充実していることで音楽ファンの間では有名なのだが、並んでいるのはほぼ例外なく10〜20代の若者だった。

 どうもここ数年の間に、アナログレコードの人気が急激に高まってきているらしい。それも中高年が昔を懐かしんでいるわけでも、高価なステレオ装置を所有するオーディオマニアが買いあさっているわけでもない。アナログブームは主に若い音楽ファンの間で起こっているようなのだ。それも日本に限らず世界的な規模で。

 音楽業界的にはCDの時代はそろそろ終わりつつあり、デジタルダウンロード販売や定額制の聴き放題サービスなどが主流になってきている(これも世界的規模)。にもかかわらず、CDより前の時代のものであるアナログレコードがもてはやされているというのは、ちょっと意外だ。どうやら若いリスナーは、ふだん音楽を聴くのはスマホや携帯音楽プレーヤーがメーンで、レコードにはアイテムやコレクションとしての愛着を持っているらしい。

 そんな状況になってきているので、アナログ盤をめぐる市場にも大きな変化が見られる。ひと昔前だったら、押し入れに眠ったまま聴かなくなったLPレコードは、リサイクルショップなどで処分しようとしても「買取不可」というところが多く、じゃまだったら捨てるしかなかった。いまだにVHSビデオテープやレーザーディスクなどはほとんど買い取ってもらえないが、レコード盤は歓迎され、ものによっては当時の定価よりも高い値段で引き取ってもらえることもあるほどだ。

 中古盤の販売店もアナログ専門店に限らず、CDメーンの店でさえ数年前と比べたらアナログ盤の売り場面積は明らかに拡大してきている。

 中古だけではない。昔の作品をアナログで再発売したり、現役アーティストの新作もCDと並行してLPレコードを出すというケースも目立つ。日本国内でもアナログ盤のプレス枚数は年々増加しているという。

 その一方で、高音質なハイレゾ音源のダウンロード販売や聴き放題のストリーミング再生など、パッケージ商品ではないデジタル配信の波も一段と活発化している。アイテムとして所有する価値の高いアナログ盤、便利で気軽に音楽を楽しめるデジタル配信、と両極端な流れになっているような気がする。

 こうなると、その中間に位置するようなCDという存在は中途半端で、遠からず消え行く運命にあるのかも?

(文化部デスク・井上達也)