福山雅治(47)と吹石一恵(33)夫妻の東京都渋谷区内のマンションに5月6日夜、女が侵入した事件で、同マンションの管理や住人の世話をするコンシェルジュの女(48)が逮捕された。

 住人のプライバシーを守るべき立場のマンション管理人が犯人とは笑えないが「福山さんのギターが見たかった」と供述し、凶悪犯ではなかったのは不幸中の幸いだった。これである事件を思い出した。1992年に起きた女優・山口智子(51)宅襲撃未遂事件だ。

 のちに、トレンディードラマで「視聴率女優」といわれるようになる山口は、170センチ・B83・W59・H88のボディーで水着やビールのキャンペーンガールを経て、88年のNHK連続テレビ小説「純ちゃんの応援歌」のヒロイン抜てき以降も、ドラマなどオファーが次々と舞い込み、当時、若手人気女優の仲間入りを果たしていた。

 92年1月22日午前9時ごろ、山口(27=当時)が住む港区内のマンションのインターホンが鳴った。「○○デパートからの配達ですが、○○プロダクションからのお届け物です」との声に山口がドアを開けると、宅配業者を装った男2人が室内に入り込み、山口を羽交い絞めにしようとした。山口が「キャー!」と悲鳴を上げ、それに気付いた「室内にいた男性」が玄関へ駆けつけた。男2人はそれに驚き、逃走した。

 男2人は20〜30歳で身長170〜175センチ、薄茶色の作業着姿で、残された“荷物”には粘着テープと荷作り用のヒモだけが入っていた。「強盗や空き巣ではなく、山口が住んでいることを知る男がレイプ目的で侵入した可能性が最も高い」(当時の警察関係者)

 10日後、不安にかられた山口が警視庁麻布署に被害届を提出。事件から2週間後に報じられ、芸能記者やワイドショーが連日、押し寄せる騒動となった。

 NHK前で行われた山口の緊急会見は、ショートカットにこぶしほどの顔にあの美貌と抜群のプロポーション、奥歯にモノが挟まったような表現だったのが印象的だった。

「部屋の中にはたくさんの人がいたので助かった」と言った直後に「いたのは事務所の男性2人」と言い変えたり…。無理もない。この時点では事件当時「室内にいた男性」の素性がバレていなかったからだ。

 だが直後、事件現場となった山口のマンションに報道陣が集まり、管理人の取材が始まった。山口のマネジャーは迎えの際、いつも6階の山口宅には上がらず、下で待っていたと言い、ポロッとと「弟さんならしょっちゅう来てるけど」と管理人。そこで、報道陣の一人がある人気俳優の顔写真を出すと「あ、その人。弟さんでしょ?」。約4年後に山口と入籍することになる唐沢寿明(53=当時28歳)が事件当時、山口宅にいたとバレた瞬間だった。

 唐沢は、山口の会見から2日後に会見を開き「部屋にいたのは間違いない」と認めたものの、交際については「今はいい友人。でも男と女ですから、もしそうなったらよかったと言ってください」などとはぐらかしていた。

 有名芸能人となれば、セキュリティーが万全の住居に住んで、こんな事件に遭わないようにするのに越したことはない。福山の場合はコンシェルジュ=管理人が犯人では防ぎようがない。

 唐沢・山口の場合の管理人は交際を明るみにした貴重な証言者だった。ただ、昔と違い、最近の高級マンションの管理人は個人情報保護法もあり、マスコミの取材に口が重たくなっているのも事実だ。

(文化部副部長・延 一臣)