主要国首脳会議(サミット)が26、27日に三重県伊勢志摩で開かれる。参加国の持ち回りで、日本での開催は北海道・洞爺湖以来、8年ぶり6回目となる。各国首脳が顔を揃え、世界から5000人を超える関係者や報道陣が訪れるビッグイベントだが、一般人には会議が傍聴できるワケでもなく、なじみが薄い。洞爺湖サミットの取材経験から“楽しめるサミット”のポイントを探ってみた。

 今年のサミットはロシアを除く7か国参加で、オバマ大統領(米国)、オランド大統領(フランス)、メルケル首相(ドイツ)、レンツィ首相(イタリア)、キャメロン首相(英国)、トルドー首相(カナダ)に安倍晋三首相の面々。会場となる賢島の志摩観光ホテルには期間中、一般人が立ち入ることはできない。

 唯一、各国首脳の動きを目視できそうなのは中部国際空港(愛知県常滑市)だ。各国首脳は中部国際空港に着陸後、ヘリで賢島に移動する予定で、終了後は逆ルートで帰国の途に就く。色とりどりの大統領、首相専用機が一箇所に集結する姿は壮観で、中でも米のエアフォースワン(大統領専用機)やマリーンワン(大統領専用ヘリ)をナマで見られる機会はそうそうない。

 最も近接で望める空港展望台こそ期間中、立ち入り禁止となるが、中部国際空港にはほかにも撮影スポットは多い。全国から航空・無線マニアが集結し、「次、○×国来るぞ」「▲□国、離陸!」と教えてくれるハズで、子供も楽しめる。

 期間中はあえて車で賢島を目指すのもアリだ。厳重な警戒態勢が敷かれ、賢島に近づけば近づくほど検問所が多くなる。「どこへ行くんですか?」「免許証見せてください」とトランクルームから車両下部まで調べ上げられる。相次ぐ検問所にうんざりするかもしれないが、ここは警察官との会話を楽しみたい。

 すぐに気付くのは警察官のイントネーションが検問所ごとに違うことだ。サミットでは全国から2万人を超える警察の機動隊員が動員され、警備にあたっている。各都道府県のパトカーを見かけ、さまざまな方言攻めにあえば、もはや自分がどこにいるか分からなくなる。ちなみに応援で借り出されているため、観光スポットや道を尋ねてもほとんど期待できないので、ご了承を。

 そして運が良ければ、米大統領を警護するシークレットサービスに遭遇できるかもしれない。100人以上のシークレットサービスが来日するとみられ、洞爺湖サミットでは屈強な集団が土産店で、名前彫りサービスの木刀を求めて大行列を作る珍場面にも出くわした。

 夜の街も繰り出したい。主要国首脳や関係者は三重県内で宿泊し、その他のアウトリーチ国といわれる招待国首脳や関係者は名古屋市内での宿泊が予定されている。洞爺湖サミット時は札幌市内に多くの関係者が宿泊していたが、ススキノは意外にも閑古鳥が鳴いていた。

 というのも警察の警備が厳しくなるとビジネスマンや観光客から敬遠され、報道・警察関係もハメを外さぬよう自粛要請が出ていたからだ。栄や錦は“夜のサミット”どころか、逆に穴場となるので狙い目だ。次の日本開催はまた7〜8年後になりそうで、話のネタにもなるサミットにぜひ足を運んでみては。

(文化部デスク・小林宏隆)