2月14日の打ち上げまで2週間、巨人の宮崎キャンプを取材した。昨季は激しいデッドヒートの末にリーグ優勝を逃したが、やはり2016年のシーズンも「G」に対する世間の注目度は大きい。高橋由伸新監督のもと、猛練習に励む選手たち、そして臨時コーチを務めた松井秀喜氏ら多数のキーパーソンを取材しようと大勢の報道陣がキャンプ地を訪れた。

 その報道陣の胃袋を満たす役割を担っていたのが、サンマリンスタジアム内にあるメディア食堂だ。毎年のキャンプ期間中、昼食時のみの限定で地元の方々が調理場に立ち、宮崎名物のランチメニューを用意してくれる。ここでつい先日、恥ずかしい“論争”を引き起こしてしまった。

 その日は“食べたい方はどうぞご自由に”という感じで、卵焼きが数多く並べられていた。特に「何個まで」などと記された注意書きはなかったので、小さく切られた卵焼き4個を未使用の皿に盛り付けて自分の席に移動しようとしたところ、食堂のご主人からやんわりと“お叱り”を受けた。

「後の人のことも考えてね」

 そう言われてもなかなかピンと来なかった。「4個って多いかなあ」と内心でブツクサつぶやきながらも2個を返却。しかし、時間がたっても納得できずに、他のメディア関係者に「4個って妥当な数だよね?」と聞いてみると、予想に反して嵐のごとくブッ叩かれた。

「いや、絶対取りすぎですよ!」
「いい年こいて、どんだけセコいんですかあ?」
「いくら数に制限がないからって、常識ってもんがあるでしょ」

 まさに“瞬殺”。アッという間にシュンとうなだれた。食堂で一緒に食べていた後輩は「いや、4個は普通ですよ」と同意してくれたのだが、きっと本心は“この先輩、なんて意地汚いんだ…”と思いながらグッと本心をのみ込んでくれていたのに違いない。

 やっぱり、こういうところで人間性が出るものなのだと深く反省した。食堂のご主人○○郎さん、本当に申し訳ありませんでした。

(運動部デスク・三島俊夫)