【ニュースのフリマ】五輪延期と囲み取材急きょ変更のナゾ

2020年03月25日 15時00分

 内閣広報室が提供し、メディアで使用された写真が雄弁に物語っているように見える。東京五輪の延期が決まった、安倍晋三首相とトーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長による日本時間24日午後8時ごろからの電話協議。首相公邸の一室で、森喜朗大会組織委員会会長、小池百合子東京都知事らを両脇に従えたかのような席配置は、安倍氏が仕切って事を進めた感がありありとする。

 気になるのは、組織委が設定した聖火リレーに関する囲み取材の時間が変更されたこと。午後6時半からの予定が、9時ごろとなった。つまり安倍・バッハ協議の前から後に後ろ倒しされた。この告知メールが筆者に届いたのは6時すぎのことだったから、あわただしさを感じさせる。

 IOCは五輪開催について、延期も含めて組織委などと話し合い、4週間以内に結論を出すとしていた。それに伴い、26日の国内スタートが迫った聖火リレーは「一般ランナーなし」での実施に変更と一斉報道されていた。それを6時半の囲みで発表するとみられていたのだが、急転直下の延期決定で聖火リレーはなくなった。囲みの時間変更は、協議前から延期の流れができていたかのように思わせる。

 公式記録映画の監督を務める河瀬直美氏は、25日の「スッキリ」(日本テレビ系)で「昨日の夕方の時点で組織委員会の人たちも何がどうなるのかってことも…だって私たちは福島に今日行くはずでした」と語った。

 組織委としては、開催可否の結論待ちの以上、形態を変えても聖火リレーは予定通り実施しようと考えた。そこに何らかの状況変化が生じ、安倍・バッハ会談後に大会延期と聖火リレーを行わないことを発表する段取りになった――。そんな可能性も考えられる。

 この間、動いたとするなら首相サイドだろう。IOCサイドに対し延期決定の根回しをしたか、あるいは直談判で即決させる強い意思があったのか。いずれにせよ、バッハ氏から「100%の同意」を得たとして結論が早々と出たのは、すでに報じられている通りだ。

 そもそもバッハ氏のカウンターパートでもない安倍氏が、五輪開催に関わる重大問題の決定に直接関わるのは本来ありえないことだろう。五輪は国でなく都市単位で開催される。バッハ氏の相手となるのは森氏のはず。それどころか、国内統括団体たる日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は協議の場にいなかったようだ。もちろん、重大事だからこそ首相との協議が行われたとも言えるものの、これでは政治介入の印象すら与える。

 五輪が都市単位で行われる理由の一つは、政治の介入を防ぐためと言われる。一方で肥大化する大会は国家の支援なしには実現困難で、今回の東京大会も「オールジャパン」で招致した経緯もある。「総理案件」ではない開催の可否判断で安倍氏が直談判に出たのは、そんな現実の象徴か。

(渡辺 学)