【ニュースのフリマ】北の富士氏「28勝」は不名誉なのか

2020年03月11日 14時39分

 大相撲春場所初日のNHK中継で、解説の元横綱北の富士氏が「私の不名誉な記録」と語った自身の大関昇進直前3場所の通算28勝はそれほど悪い数字なのか。

 この発言は向正面解説の元小結舞の海氏の示唆から始まった。関脇朝乃山の大関昇進条件について「甘いのかもしれませんけれど、大関1人ということもあるので、10番勝てばいいんじゃないかという気もします」として、「過去に3場所で28勝で上がったという例もあるので」と続けると放送席から笑いが。

 正面の北の富士氏を暗示する言葉に、言われた本人は「お前、雰囲気読んでない。お前、あのねえ…まあ、いいや」と不機嫌に。実況アナが「28勝というのは北の富士さん…」と明言すると、今度は「何かにつけて大関問題やってるたびに私の不名誉な記録が出されるので、あんまり愉快ではないけど、まあ、いいでしょう」と若干の本音を語った。

 直前3場所の成績が重視される大関昇進では、37勝(北天佑、横綱2代目若乃花)という横綱昇進基準並みの成績もあれば、平均1桁となる28勝も。ただ、28勝は鏡里、初代若乃花の例もあり、北の富士氏も含めて最高位に上り詰めている。

 1955年秋場所後に昇進した初代若乃花は引き分けが2番あり、28勝でも負けは15番。同時昇進の松登は直前13勝で通算32勝。だが新大関場所は若乃花が13勝で松登は5勝と明暗を分け、後に松登は陥落した。北の富士氏も新大関の66年秋場所で10勝を挙げ、看板力士の責任を果たしている。

 直前10勝も若乃花、その弟の貴ノ花、稀勢の里が該当する。貴ノ花は優勝2回で名大関と称され、稀勢は横綱に。3場所30勝以下では29勝の朝潮が横綱に、28勝の北葉山は1回優勝、在位30場所で名大関と言われた。

 つまり、3場所28勝も直前10勝も、その後の苦戦を予兆させるものではない。「不名誉」とは思えないが、北の富士氏の意外なコンプレックス?を感じさせた初日放送のやり取りだった。

(渡辺 学)