【ニュースのフリマ】袴田事件にも登場した「PCR」の威力

2020年02月18日 12時32分

 新型コロナウイルスの判定で、受診者の数に追いつかないといわれるPCR検査。どこかで目にした用語だと思ったら、再審がなかなか始まらない袴田事件でもこの言葉が登場していた。

 PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査では、採取した体液からDNAを増幅し、高精度でウイルスを検出できる。機械や試薬に限りがあり、時間もかかるため、検査がなかなか進まないと報じられた。この検査を開発した米国のキャリー・マリス氏は1993年にノーベル賞を受賞している。

 66年に静岡で一家4人が殺害された事件で死刑判決を受けた元プロボクサー袴田巌さんは、2014年に静岡地裁で再審請求が認められるも東京高裁が棄却し、弁護側が特別抗告している。この再審請求で対立したのが、焦点の一つとなった衣類のDNA鑑定だ。

 DNA抽出で弁護側の鑑定人が行った「細胞選択的抽出法」による鑑定結果は静岡地裁で新証拠とされたが、検察側は疑義を唱え、東京高裁で否定された。鑑定ではPCR増幅も行われ、その回数を巡っても双方に相違があったという。いずれにせよ、PCRも一度は認められた再審請求に貢献した。

 日本RNA学会のウェブサイトでは、「いまや遺伝子研究に無くてはならない技術」とPCRを紹介している。その応用は広範囲に及び、犯罪捜査や新型コロナのような医療診断も対象に含まれる。累計数兆円の経済効果も想定できるというから、その効用たるや大きい。

(渡辺 学)