【ニュースのフリマ】30周年のタイソンVSダグラス大番狂わせ

2020年02月07日 14時56分

 米メディアによると1月31日、世紀の番狂わせとなったボクシング統一世界ヘビー級タイトルマッチ、マイク・タイソンVSジェームス「バスター」ダグラス戦から30年を迎えるイベントがオハイオ州コロンバスで開かれた。コロンバスは現在59歳のダグラス氏の出身地で、オッズ43倍の“勝ち目なし”予想を覆した同氏はイベントで、秘話などを語ったという。

 1990年2月11日に東京ドームで行われたこの一戦、「鉄人」タイソンが10回KOに沈んだ衝撃はもちろん、ダグラスのダウン時の「疑惑の8カウント」(実際の時間は十数秒)が陰謀説を呼び、提訴騒ぎも伴う恐ろしい結末に。リングサイドで取材した筆者はタイソンのダウンに震えが走り、テレビで繰り返された8カウント映像ではレフェリーとリング下タイムキーパーの指の動きが悪夢と化して脳裏にこびりついた。

 前出のイベントの報道によるとダグラス氏は当時「勝つことだけを考えてリングに入った」と振り返り、関係者は「鉄の意志と偉大なる覚悟があれば、不可能はないことを示した試合だった」と証言している。

 自分の過去記事を探すと、ダグラス陣営の「KO」発言や、練習を見た日本の元チャンプの言葉から「タイソン『KO負け』も飛び出した 危機は本当だ」との見出しがついたものがあった。他にも「減量放棄」「非常事態」などなど。ただ、2度目の東京ドーム戦は興行的にいまひとつで、いろいろ語られる不安情報は“あおり”の感も否めなかった。

 ところが、現在53歳のタイソン氏の自伝「真相」によると様相は違った。試合1か月前近くの来日はやる気満々を思わせたが「文句を垂れて、わめきながら」東京へ向かい、「あのころ興味があったのはドンチャン騒ぎをして女と寝ることだけだった」と本心を明かしている。

 世界制覇を導いたチーム・タイソンはメンバーが替わって、お友達軍団に様変わり。母親とセットの女優妻とは離婚、そして接近したのはドン・キングやドナルド・トランプ…。もろもろの“ユルさ”は日本メディアも感じ取ってはいたが、さすがに負け予想は出なかった。疑惑のカウントがあったとはいえ、23歳にして身も心もすさんでいた世界最強王者には負ける要素もはらんでいたと言える。

 いわば、ある種の“必然”でもあった世紀の番狂わせ。冒頭の米メディア記事のタイトルは「30年後もバスターのタイソンKOは鳴り響いている」と偉業の価値を強調していた。

(渡辺 学)