【ニュースのフリマ】2030年札幌五輪の気候リスク

2020年01月29日 15時05分

 強い雨風をもたらした低気圧が遠ざかった29日の都心は高温に。連日のように「雪なし」「暖冬」が伝えられる列島にあって、札幌が招致を目指す10年後の冬季五輪に「暑い冬」リスクはないのか?

 気象庁のデータで札幌の2月の平均気温を見ていくと、冬季五輪が開催された1972年はマイナス3・8度だった。長野が冬季五輪の舞台となった98年は同3・6度で、直近の2019年は同2・6度にとどまっている。

 この10年間で2月平均がマイナス3度を下回ったのは5回。それ以前には89~98年に同3度以内が8回という例もみられ、現在が高温傾向にあるとは一概に言えない。一方、如実に変化が感じられるのは降雪だ。

 やはり2月データの推移を見ると、72年は雪日数が29日(うるう年のため)あり、降雪量合計は173センチ。00年は28日、226センチだったのが、10年には25日、99センチに減る。19年は25日はともかく、降雪量は52センチにまで落ちてしまった。

 現在の雪不足ニュースは札幌も例外ではない。白旗山距離競技場での国際大会が中止、ばんけいスキー場が会場のモーグルの大会は延期…。昨年12月には、荒井山シャンツェで今年1月に開催されるはずだった中学生のジャンプ競技会も中止になっていた。

 30年大会招致に向けてIOC(国際オリンピック委員会)から、開催能力の高さを評価された札幌。東京五輪のマラソン代替開催もIOCの意向に沿うもので、前途は明るいように見える。

 とはいえ、東京のように開催決定当時はほとんど考慮されなかった暑さ問題が後々になって深刻視された揚げ句、マラソンと競歩の移転が決まったように、札幌にも気象リスクは否定できないのではないのか。スキー場から地肌がのぞくようでは目も当てられない。

 人工雪を降らす、よそから雪を運び込むなどの対処はできる。だが、先日のユース五輪期間中に開催地・ローザンヌ(スイス)でグレタ・トゥンベリさんも参加のデモが行われ、「人工雪を降らせてまでやる必要があるのか」との声も報じられたように、環境問題での風当たりは強まりそう。

 五輪開催地は7年前に決まっていた通例が変則化し、30年冬季は「早ければ来年にも」と報じられたばかり。9年前に気候リスクをまともに判断できるのか。東京の騒動が繰り返されかねない…。

(渡辺 学)