【ニュースのフリマ】河瀬直美監督の「2020年問題」

2020年01月01日 10時00分

 東京・京橋の国立映画アーカイブで開かれている河瀨直美監督特集(19日まで)。その直前の企画が五輪記録映画の特集だったことから、今回は河瀬監督が今年の東京五輪の公式映画監督を務めることを意識してのプログラミングだろう。

 2007年「殯(もがり)の森」のグランプリなど、カンヌ国際映画祭で複数の作品が賞に輝いている河瀨監督。「カンヌの河瀬でなくオリンピックの河瀬」と世間に見られるようになったと明かしていたのは昨年10月の「朝日地球会議2019」のトークイベントだったが、「2020年河瀬直美問題」として同年の忙しさにも言及している。

 すでに準備を始め、3月には本格的な準備が始まるという五輪映画の撮影や編集作業。さらに初夏には、辻村深月氏の著作「朝が来る」の映画化作品が上映される。新作映画の公開では、俳優のみならず制作者も舞台あいさつやPRイベントに登場することも珍しくない。

 そして9月には、2年に1回の「なら国際映画祭」が行われる。同映画祭は奈良出身の河瀬監督をエグゼクティブディレクターに迎えて2010年に始まり、以後関わってきた。「一番忙しいけど、みなさん、どうぞ奈良(なら)をよろしくお願いします」と語っていた。

 五輪記録映画は日本開催の大会で、64年東京が市川崑、72年札幌冬季が篠田正浩が監督を務めた。98年長野冬季は多数の五輪映画を撮った米国のバド・グリーンスパン監督。92年バルセロナのカルロス・サウラや88年ソウルのイム・グォンテク、68年グルノーブル冬季「白い恋人たち」や、「男と女」で著名なクロード・ルルーシュもカンヌ受賞監督であり、河瀬監督もその流れに加わる。

 五輪記録映画の作風はさまざま。競技を幅広く追い、人間的エピソードも欠かさなかった60年ローマ、インタビューもまじえて勝者と敗者に切り込んだ長野、抒情あふれる76年モントリオール…。

 芸術性高い市川作品は内容を巡って政治家らによる論争を呼んだ。「映画なのでストーリーが大事だと思っています。市川さんの作品が評価されている理由はそこだなと思う。(中略)私にしか作れないものを作らないと意味がないと思う」と話した河瀬監督。市川監督は48歳で東京五輪を迎え、河瀬監督は51歳で大仕事に臨む。「20年問題」の忙しい中、どんな作品を送りだすのか…。

(渡辺 学)