【ニュースのフリマ】ラグビー代表4年前の爆発前夜

2019年08月13日 14時01分

 9月20日のW杯開幕戦・対ロシアを前に順調すぎるほどのラグビー日本代表。5日のNHK番組では、課題についてコメントを求められた2015年大会の中軸・五郎丸歩が「あえて」と前置きして語る場面もあった。

 その翌週、日本は米国代表を破り、パシフィック・ネーションズカップを3戦全勝で制覇。すべて4トライ以上と内容も申し分ないが、元日本代表主将でオールブラックス・ジュニアを破った1968年の伝説の一戦にも出場した横井章氏(CTB、早大—三菱自工京都)はブログで「強化の評価」は9月6日の南アフリカ戦まで持ち越しかとしつつ、「このままでは、アイルランド、スコットランドに勝利は、難しいと思われ…」と課題を挙げて記している。

 それは別として、順調すぎるがゆえの“落とし穴”はないのか。15年の前回大会は、苦闘の夏を経て3勝を挙げる爆発的な快進撃が生まれている。

 8月15日、秩父宮で世界選抜に20—45。場内に落胆ムードも漂った。専門誌でも不安を投げかける記述が見られたほどだ。今回まとめて破ったフィジー、トンガ、米国には、7月末から8月初旬にかけてことごとく敗れた。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチの“会見拒否”など、穏やかならぬような動きも見られた。

 8月末、国内でウルグアイに2戦連続大勝し、英国に渡ってジョージアに13—10。そして南ア撃破「ブライトンの衝撃」につなげた。8月31日のメンバー発表に先立つ25日にはエディー氏のW杯限りでの退任が発表される。一見、日本協会との不和をうかがわせるネガティブニュースだが、結果的にプラスの効果ももたらした。

 超ハード練習と容赦のない物言いで“エディー疲れ”が極みに達していた?選手たちには安堵の空気も漂ったという。主力だったロック・大野均も近著「ラグビー 日本代表に捧ぐ」(廣済堂出版)で、「これには内心ホッとした選手やスタッフもいたと思います」と回顧している。

 連敗の苦闘を経て指揮官の“重し”から解き放たれた選手たちが、W杯で大仕事をやり遂げたのが前回のザックリした構図。まさにピーキングがぴったりだったのかもしれない。戦力で劣らぬ現代表だが、「あえて」不安を挙げれば、前回のような起伏が見えてこないことか…。

(渡辺 学)