【ニュースのフリマ】蒼井優14年前の一作と現在

2019年06月06日 14時45分

 お笑いタレント山里亮太との電撃婚で時の人と化した蒼井優について、縁結びの遠因となった映画「フラガール」(2006年)がもっぱら語られているが、「リリイ・シュシュのすべて」「花とアリス」など岩井俊二監督のミューズ的存在であることも思い浮かぶ。

 結婚記者会見で、仮に山里の浮気が発覚したらとの質問に蒼井は「DDTプロレスさんにお願いして…」と夫がかつて参戦したプロレス団体の名を挙げたが、自身も映画でわずかながらプロレスシーンをこなしたことがある。

 2005年の「亀は意外と速く泳ぐ」。脱力系コメディーの名手・三木聡監督の作品で、蒼井は実年齢でもほぼ同じの上野樹里扮する「片倉スズメ」の同級生「扇谷クジャク」を演じた。

 平凡でイケてないスズメとは対照的に、万事ソツなく派手なクジャク。そんなクジャクのキャラを紹介する場面として出てくるのが、学生プロレス。時間は短いがリングで躍動する姿は、DDTに「お願い」しなくても山里を懲らしめられるのではないかと、あれから14年の時が過ぎて思わせるものがあると書いたら大げさか。

 おっとり型のスズメは待ち合わせをクジャクに2時間遅らされると、温水洋一が店主の美容室でチリチリのトンデモ髪形に。ようやくやって来たクジャクが、なぜか持っている拡声器で「何だ、その頭」と一喝するくだりは名シーンとも言えるほど強烈な印象を残す。

 同作品には、「孤独のグルメ」テレビ放送開始以前の松重豊が「そこそこ」味のイタリア風ラーメン店のシェフで出演しており、やはり拡声器でクジャクが「もっとうまいラーメンつくれ!」とドつく場面も。

 あくまで当時ブレークしつつあった上野が中心の作品だが、そのノホホンぶりを引き立たせていたのが蒼井の好対照キャラ。ブサイク非モテ芸人との結婚が世間に衝撃を与えているが、14年前の脱力系映画はその素養をうかがわせる。

(渡辺 学)