【ニュースのフリマ】“刷新”ラグビー協会幹部に必要な人

2019年05月10日 15時31分

 岡村正氏が退任する日本ラグビー協会会長の後任に、元日本代表CTB森重隆副会長(67)の昇格が有力だと複数のメディアが報じている。森氏は新日鉄釜石の日本選手権7連覇でV4(1982年)まで、選手兼監督も務めるなどして偉業に貢献。引退後は家業のガラス店を継ぐ一方、母校の福岡高校で監督として現日本代表WTB福岡堅樹らを花園に導き、九州協会会長の要職にも就いている。

 岡村氏の退任をめぐっては「W杯の直前に」と9月開幕の大イベントを前に不穏な空気を感じさせなくもないが、もともと6月が役員改選期。かつて森喜朗氏(81)が定年を超えながら“余人をもって代えがたい”とされ特例で会長を継続したことがあったが、今回その森氏が先に名誉会長退任を突然言いだし、高齢批判を行って道連れにするように80歳の岡村氏をトップから降ろすような格好になったのは皮肉。

 皮肉といえば、同じく4年に一度の祭典・夏季五輪でも東京大会を来年に控えて、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長も6月の役員改選で退く。

 5人の副会長では、知名度や指導者歴なら世界的名WTBで1990年代に大阪体育大旋風を巻き起こした坂田好弘氏、実務なら東京五輪招致委員会事務総長などを歴任した河野一郎氏がいるものの、この両氏を含めて4人がすでに70歳を超えている。唯一の60代で実績・知名度も十分な森氏が選出されれば、順当な人選なのかもしれない。

 元東芝社長の岡村氏は東大で選手、その後はレフェリーで活躍した。その前任者の森喜朗氏は元首相。さらに前の町井徹郎氏も東大→東芝(元副社長)でW杯の日本招致に熱意を燃やす中、2004年に死去。それ以前にも、住友銀行の頭取を務め「天皇」と呼ばれた京大ラグビー部出身の磯田一郎氏らが協会トップの座にあった。

 そうした中で釜石V7の礎を築いた森氏の登場は新しい風を吹かせるものになりそうだが、「アフター2019」も見据えると、広報戦略にたけていたり、ビジネス感覚を持つ人材が幹部に必要なところ。

 広告塔なら、釜石で森氏からプレーイングマネジャーを引き継ぎV7のけん引役となった名SOで知名度抜群の松尾雄治氏(65)や、テストマッチの最多トライ記録を樹立し、テレビ出演も多い大畑大介氏(43)が浮かび上がる。

 選手出身でビジネス・国際センスを感じさせるのは、15年W杯で日本代表GMを努めた現理事の岩淵健輔氏(43)、あるいは早大やU—20代表の監督を歴任し、起業もした中竹竜二氏(46)ら人材は少なくないだろう。平尾誠二氏を失ったラグビー界だが、平尾氏の盟友でサントリー監督として日本一達成、ウェールズ代表撃破も遂げ、同社関連会社の社長でもある土田雅人氏(56)も現在理事職に就いている。

 東京パラリンピック金メダルを目指す車いすラグビーでは、日本ウィルチェアーラグビー連盟が昨年、有機野菜販売などで知られる「オイシックス・ラ・大地」の高島宏平社長(45)を理事長に招へい。同連盟はビジネスマインドのある人材を求め、ビズリーチ社を通じてプランナーを公募した。

 説明会で高島氏は東京パラで盛り上がる現状が続くよう「クライアントといい関係を構築し、サステイナブルな状態にしていきたい」と公募の意図を語っていた。今回の日本ラグビー協会の役員人事をめぐっては、森喜朗氏はW杯後のビジョンの不透明さも指摘したという。まさに、高島氏のような感覚を持つ人が幹部に必要なのでは…。

(渡辺 学)