【ニュースのフリマ】夏場所“トランプシフト”と観客への影響

2019年05月07日 14時42分

 かつて大相撲を取材していた当時、天覧相撲は事前報道不可ながら日本相撲協会から相撲記者クラブに告知され、当日は記者たちも普段は受けない荷物検査の対象とされた。この夏場所千秋楽では国賓訪日予定のドナルド・トランプ米大統領が観戦と優勝者への表彰を望んでいるといい、世界最高レベルの権力者を迎える両国国技館の警備は前例のない厳戒態勢化が予想される。

 米メディアなどの報道によると大統領は「フロントローのボックスシート」を希望。直訳すると升席の最前方ということになる。

 これが貴賓席なら多少は一般客と隔離され警備もしやすいが、升席観戦となれば、隣升の客と肩を寄せ合うようにして見るのか。あるいは万全を期して左右前後の一定程度の升を空席にして安全を図るか、警備関係者が座って周囲に目を光らせることになるかもしれない。

 3月に一部で先行予約が始まった夏場所の前売りは、一般販売初日の4月6日に完売。トランプ氏の相撲観戦希望が公になったのは4月12日のことで、前出のように升席観戦で周辺席にも警戒態勢を敷くのなら、一部の予約客に観戦を遠慮してもらう事態になっても不思議ではない。

 千秋楽の表彰式では優勝力士に内閣総理大臣杯が手渡される。トランプ氏がいかなる名目で「表彰」を行うのかはまだ不明だが、このセレモニーに登場するとなれば、総理大臣杯を贈る日本政府側も、いつものような代理ではなく安倍晋三首相自らが臨まないと格好がつかない。かくして一国のトップ2人が揃い踏みとなり、警備をめぐる日米綱引きも起こりかねない。

 一方、相撲協会としては令和最初の場所に最もふさわしい超VIPにトランプ氏より先にお出ましいただきたいところだろう。昭和天皇は相撲好きで知られ、平成になって天覧相撲は一時期若干の空白期間があったものの、ここ数年は例年初場所で実現。ただ、このところは幕内後半戦からが続き、幕内力士が土俵内で揃い踏みする御前掛かり土俵入りは披露されていない。それだけに、初日か中日に中入り後からの天覧相撲を望む人は少なくないはず。

 天覧相撲も決まれば夏場所は超厳戒場所に。半面、VIPに見てもらいたい一念から、けがをしても皆勤しようという敢闘精神を呼び起こす効果も生じるかも…。

(渡辺 学)