【ニュースのフリマ】桐生「自己最高」レベルの成績

2019年04月23日 14時11分

 9月末から世界選手権の舞台となるカタール・ドーハで開催中の陸上アジア選手権で、男子100メートルを10秒10で制した桐生祥秀(23=日本生命)は、ある意味、自己最高の成績を挙げたと言える。

 リオ五輪で銀メダル、翌年の世界選手権ロンドン大会では銅メダルの男子400メートルリレーでチームに貢献した桐生だが、日本人ただ一人の100メートル9秒台の記録を持ちながら、個人種目では国際主要大会の出場権を逃すこともあるなど苦い思いも重ねてきた。

「勝負弱い」との評まで聞かれる中、地域レベルとはいえ国際競技大会での1位と10秒10は価値が高い。

 2017年にマークした9秒98は日本インカレでのもの。年次ベストを振り返ると、16年の10秒01、14年の10秒05はやはり学生大会で、16年のタイムは準決勝で出ている。高校時代の13年に日本を驚かせた10秒01、15年の10秒05は国内大会で、13年のタイムは予選での記録。昨年の10秒10と今年現時点で最高の10秒08は海外で記録しているが、大会のグレードは高くない。

「速い選手でなく強いランナーになりたい」というのは、1998年アジア大会での10秒00が桐生に破られるまで日本記録だった伊東浩司の言葉。そのメルクマールとなるのは、格の高い大会を好記録で制することだろう。

 これまで桐生の“勝ち鞍”でレベルが最も高かったのは日本選手権(14年)だが、記録は10秒22にとどまる。13年と17年の織田記念はそれぞれ10秒03、10秒04だが、大会の格はやや下がる。

 という意味で、日本選手が勝てなかったアジア選手権を10秒10でものにしたことは、総合的にみれば自己最高とも評価できる。

 今回の決勝は午後8時20分に行われ、気温22度、湿度は51%だった。このほど日程が発表された東京五輪の男子100メートルは、8月2日午後7時から準決勝と決勝が組まれている。決勝は9時50分。昨年の8月2日、昼間に36・5度まで上がった東京の気温は、午後10時でも30・1度あった。同時刻の湿度は74%。「暑い」と評判のドーハより過酷な条件が来年も待っている。

 桐生が「勝負」に勝ったことは「強い選手」へのステップアップの幕開けか。

(渡辺 学)