【ニュースのフリマ】「いだてん」の改元と「あの人」のキャスティング

2019年04月12日 15時29分

 統一地方選速報のため7日の放送がなかったNHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」。3月31日の第13話まで8週連続1桁の視聴率が持ち直すのか、中1週で存在感が薄れてさらに落ち込むのか注目されるところだが、この間、世間が沸いた出来事が劇中でも起こるのは興味深い。

 第13話の翌日に新元号「令和」が発表になったことで5月の改元を実感した人は少なくないだろう。「いだてん」も金栗四三が1912年のストックホルム五輪(男子マラソンで完走できず途中で“失踪”騒ぎ)から9月に帰国する間の7月30日に明治天皇が崩御し、大正に改元された。14日放送の第14話はその時代になる。華々しく日本初の五輪代表として送り出されたのとは対照的な、寂しい帰国の様子が描かれるようだ。

 16年のベルリン五輪は第1次世界大戦により中止に。金栗は20年アントワープ、24年パリ大会に出場して引退。その2年後に昭和を迎え、83(昭和58)年に92歳で世を去る。80歳を過ぎても元気に走っていたというから、2度の改元を経て3つの時代を駆け抜けた人生だった。

 ドラマはストックホルム、36年ベルリン、64年東京の五輪3大会を中心に構成される。中村勘九郎演じる金栗はおそらくあと数話で“お役御免”となり、「東京五輪を呼んだ男」田畑政治へと主役が移っていく。そこで気になるのはキャスティング。

 萩原健一さんが先月死去したことで、図らずも高橋是清役で第25話から出演することが、NHKから発表された。首相と蔵相を務めた是清は、ベルリン五輪のサッカー日本代表FW・高橋豊二の祖父。べルリン五輪絡みで登場するのか。まだまだ未公表の出演者が残されている中、気になるのは「あの人」を誰が演じるのか。

 東京五輪招致に尽力した田畑は、日本水泳連盟会長、東京五輪組織委員会事務総長などの要職を務めた。戦後ニッポンが参加できなかった48年ロンドン五輪の悔しいエピソードも放送されそうだが、その時代を象徴するのが「フジヤマのトビウオ」古橋広之進さん。死して10年。故人の記憶がまだ生々しい人も多いだけに、演じる役者は大変だろう。

 水泳界からは92年バルセロナ五輪に出場した藤本隆宏が俳優になり、大河ドラマにも複数の作品に出演している。経歴的には申し分ないが、現在48歳で当時20代の国民的英雄にマッチするのかは微妙なところ。

 さらに、いま話題の五輪担当大臣も出てきそうだ。田畑は日本オリンピック委員会(JOC)総務主事も兼ねていた。62年のジャカルタ・アジア大会(昨年もジャカルタで開催)への日本選手団参加をめぐって、時の五輪担当大臣にして自民党の大物政治家・川島正次郎との間であつれきが生じ、五輪開幕を前に事務総長を辞任したいきさつがある。

「いだてん」では五輪招致成功後の苦闘も描かれるというから、この件も放送されるかも。五輪担当相は現在と異なり、佐藤栄作、池田勇人、河野一郎(河野太郎外相の祖父)と現職首相ら大物政治家がそのポストに就いていた。実際に演じられる場合、“桜田さん”とは比較にならない重厚感が求められるだろう。

(渡辺 学)

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