【ニュースのフリマ】刷新なしの2000円札と「平成おじさん」

2019年04月09日 13時50分

「令和おじさん」こと菅義偉官房長官の会見で上書きされてしまった感のある「平成おじさん」小渕恵三元首相だが、その遺産の一つが上書きを免れた。9日に発表された紙幣のデザイン刷新の対象に、小渕氏に縁のある2000円札は含まれていなかった。

 首相在任中の2000年5月に闘病の末、死去した小渕氏。その発案によるとされる2000円札は同年7月に発行された。24年上期をメドに刷新される1000円、5000円、1万円の各紙幣は04年に現行のデザインになっているから、さらに古い2000円札が刷新されないのは、ほとんどお目にかからなくなったお札を“無視”したかのようにも思える。

 報道によると、刷新の目的は偽造防止。2000円札は流通枚数が少なく、その必要性が低いためだからだという。改めて存在感の薄さを浮かび上がらせてしまったが、おかげでそのデザインは生き残る。

 2000円札の図柄は表が沖縄を象徴する守礼門で、裏は「源氏物語絵巻」の「鈴虫」。沖縄への思い入れが強い議員が自民党からいなくなったと言われる昨今だが、かつては故野中広務元幹事長のように「沖縄に寄り添う」と評された大物政治家が少なくなかったという。小渕氏もその一人で、野中氏を官房長官に据えた小渕内閣が九州・沖縄サミットを実現に導いた。

 そのサミットにちなんで開幕2日前に初めてとなる2000円札が発行された。24年の刷新から外れたことで、いわば小渕氏の遺産が残されたとも言える。

 基地問題で沖縄に冷淡だと反発を受ける安倍政権。守礼門を紙幣に残したのは、沖縄に「寄り添う」メッセージか?

(渡辺 学)