【ニュースのフリマ】「令和」に隠された安倍メッセージ?

2019年04月05日 15時21分

 今年は吉田松陰の没後160年で、来年が生誕190年。先日発表された新元号「令和」は、安倍晋三首相が「尊敬する先生」と呼ぶ吉田松陰と結ばれていた。

 首相の地元山口県にかつてあった長州藩を脱藩した幕末の志士・松陰。首相お気に入りだったという令和は万葉集の序文に由来するが、松陰がいとこの玉木彦介に贈った言葉だと言われる「士規七則」に、この歌集のタイトルが出てくる。

「けだし皇朝は万葉一統にして、邦国の士太夫、世々に禄位を襲ぐ」

 現代語にすると「天皇家は万世一系であり、諸藩における上流階級層は代々、禄位を受け継いできた」といった意味合いか。士太夫は中国の階級の一つだというから、それこそ「漢籍」の世界だが、くしくも令和の源となった和歌集は、吉田松陰と「万葉」つながりがあったことになる。

 つまり、首相は新元号を通じて、人々が「明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせる」ことができるようにという願いを伝えると同時に、万世一系の皇統を骨格とした「この国のかたち」という隠れたメッセージを発していたとも読み取れる。

 それだけではない。2日の毎日新聞夕刊では、令和の発音が「チベット語のrewa(希望)に通じますね」という日本在住チベット人の喜びの声が紹介されている。

 ここでも「希望」が出てくるのだが、チベットの人々にとって最大の希望といえば、ダライ・ラマを中心とした独立ないしは自治権獲得だろう。漢籍でなく国書から「令和」を選んだ上、共産党政権が忌み嫌うダライ・ラマを想起させうるとあれば、もはや立派な嫌中メッセージだ。

 新元号の公布過程をめぐって支持基盤の保守層から反発も呼んだ安倍首相。2つの秘められたメッセージでその不満を収めようとしたのなら、まことに周到な新元号選定作戦が遂行されたと言えよう。 (渡辺学)