【競輪命】松浦がいっぱい

2020年08月18日 12時35分

ゴール後、原田研太朗を探す松浦悠士(上)と力尽きていた原田

 炎暑のオールスターが終わった。12~16日の5日間、名古屋競輪場で開催された「第63回オールスター競輪」(GⅠ)は、松浦悠士(29)の2つ目のタイトル奪取という結末だった。最強モードの脇本雄太(31)を破っての優勝だ。

 決勝は、原田研太朗(29)の先行に乗り、脇本雄太を1角で大きくけん制。体半分最終BSでは出切られたが、3角からあらゆる技術を駆使して内から盛り返した。「タテだけでは勝てないので、すべてを使って」。また「3角では一瞬あきらめそうになった。でも(原田)研太朗があれだけ頑張ってくれていたので」――。

 ゴールしてから半周、松浦は後ろを何度か振り向いた。「一緒に喜びを分かち合おうと」。だが、原田の姿はない。遠く半周以上離れたところを、エネルギーゼロの体で進んでいた。イベントによるファンの来場は少しあったが、無観客のシリーズ。松浦は原田の肩を抱きたかっただろう。目の前にはいないファンに、原田をたたえたかったのだろうと思う。

 そんな激闘を終えた翌々日(17日)の夜。まだ燃える男がいた。2着だったワッキーだ。個人のネット配信でゲームをしながらオールスターを振り返っていた。ファンの質問に答えつつ、「クッソー。松浦~」と叫びながら、怪しげなパーティーゲームに挑んでいた。そのゲームは他の参加者と複数のステージを競うもので、お互いに妨害し、時には色分けされたチームで協力するものでもあった。

 ワッキーが進もうとする、またポイントなどを得ようとすると当然、敵のキャラクターは妨害してくる。「まつうら~」。大量の妨害者に囲まれるとファンからは、松浦がいっぱい、と表現された。「マツウラ~」「今度は勝つ!」「頭突きしてやる!」

 深谷知広(30)のドリームレースは直線で平原康多(38)と接触してのゴールだった。平原は落車。深谷はシューズカバーが守ってくれたことで、かすり傷程度ですんだ。SNSで深谷はそのシューズカバーに平原のサインをもらい、ファンプレゼントを行うと発表した。ウソのような、恐るべき逸品だ…。

 ファンと選手のつながり方も形を変えてきている。今回の東スポWebの選手インタビューも多くの反響を呼んだ。Withコロナと言われる時代、よりネットを通じた新たな形を模索しないといけない。

 売り上げも117億7481万6400円と目標の90億3400万円を大幅に上回った(昨年は109億1278万4500円)。ネットには原田への称賛のコメントも多かった。直撃インタビューを終えた後、原田に掲載している写真の下の部分の9番車を見せると「これ、誘導員でしょう」とカラカラと笑っていた。

☆前田睦生(まえだ・むつお) 九州男児。ヘアスタイルは丸刈り、衣装は吊るしのスーツで全国各地の競輪場の検車場を闊歩している。日頃の不摂生を休日の多摩川土手ランニングでなんとかしようとしている姿の目撃情報多数。