【競輪命】川崎の決意と覚悟、サトミナついに

2020年07月05日 16時29分

川崎競輪を引っ張る川崎市公営事業部の木暮慎二開催執務委員長

 4日から開催している川崎ナイター(FⅠ)から本場開催でのファンの入場が再開された。全国各地で本場、サテライトの入場は多く再開されているが、やはり首都圏での本場入場再開は大きな意義がある。

 川崎市公営事業部の木暮慎二開催執務委員長が再開に向けて決意と経緯を説明してくれた。「神奈川県としてのガイドラインがあるわけですが、公営競技として、また新型コロナウイルスの感染防止に努め、どう入場を再開するかを県に提出しました」。入場時の検温、手指の消毒、場内でのソーシャルディスタンスの確保、またマスク着用と準備を行った。

 市の財政への寄与、機械振興と重要な役割を持ち、そしてもちろん、ファンのため、である。「ファンがずっと支えてきてくれた場なので」。4日のナイターレースが始まる前、15時30分からは川崎所属の多くの選手が集まり、ウエルカムイベントも行った。

 川崎地区長の石井毅(46)は「強制ではなく、来られる選手は…と声をかけたら結構、みんな来てくれて」と選手とファンが触れ合う様子を見て涙ぐんでいた。手袋をしてマスクをして、ではあったが、多くのファンが「郡司(浩平)がいるぞ」「あれ、サトミナ(佐藤水菜)か?」とそわそわ。今月デビューの新人男女6人もおり、中には「こんなのゲットしたから、もう運を使っちゃったかな」とガールズ118期の筆頭格・永塚祐子のサインを手に興奮を抑え切れないファンもいた。

 そんな中、1Rは神奈川支部長の対馬太陽(41)が番手から抜け出し1着。場内は拍手と歓声に包まれた。ゴール後、拍手が起こるシーンには、当方の目にも涙がにじんできた。対馬は「緊張した…」と喜び以上にファンを目の前に走る責任で若干、青ざめつつ「うれしいです」と笑った。115期ルーキーチャンピオンの朝倉智仁(20)は「発走機に着いた時にファンがすぐそばにいて、泣きそうになった。グッときた」と8R快勝後、しばらく息をはずませていた。

 いったんの収まりを見せつつあったコロナ禍はまた、多くの感染者が出てきている。だが今は「with コロナ」が課題。社会活動を支える競輪開催を、できる限りの感染予防を行って完遂する。行い続ける意義がある。地域の経済を止めず、競輪ファンの心を癒やすのだ。

 この日はファンの姿を見て、居ても立ってもいられなくなったのか、佐藤が突然新人紹介に乱入し「ナショナルチームで練習させてもらうことになりました!」と電撃発表。梅川風子(29)と2人、新たに女子の短距離強化指定選手Bとして選出され、パリ五輪を目指す決意を表明した。どの競技でもそうだが、ナショナルチーム内での競争がなければ確かな向上はない。重い決断を応援したい。

 来年2月には久しぶりのGⅠ開催となる全日本選抜を控える川崎。「川崎がやらないと」(木暮開催執務委員長)と本場開催でのファン入場再開に挑み、競輪の力を訴え、そして美しい光景を取り戻した7月4日だった。

☆前田睦生(まえだ・むつお)九州男児。ヘアスタイルは丸刈り、衣装はつるしのスーツで全国各地の競輪場の検車場を闊歩している。日頃の不摂生を休日の多摩川土手ランニングでなんとかしようとしている姿の目撃情報多数。