川崎競輪場で30日、川崎地区の選手や関係者などが献血の緊急企画に参加した。発案者は、よく献血をしているという川崎往年のエース・三住博昭(51)。しかし。当日が開催参加でもあることから、川崎地区長の石井毅(46)が実働部隊として動いた。石井は「血液センターに連絡したら、ちょうどこの日は川崎競輪場に来られる、と。あまり大人数は無理なので、選手を中心に協力してもらいました」。自らも献血し、約50人が献血。参加した誰もが、今できることを、と口を揃えた。

 コロナ禍にあり、現在は広く献血の協力を仰げない厳しい状況だ。血液センターの職員は「今の時期はショッピングモールとか各イベントとかに行けず本当に困っている。血液は長く保管できるものではないので、こうした企画はありがたいです」と、感謝しきりだった。すぐ3週間後には患者のために利用されるといい、手術の際には10人分、多いと20人分が必要なこともあると、切実に話した。

 トップレーサーの郡司浩平(29)は「競輪はギャンブルということで良く見られていない分もあるかもしれないが、こうした活動をもっともっと広めて良さを知ってもらいたい。困っている人に対し、選手会としてできることがあれば積極的にやりたいと」と思いを話した。ダービーを始め、各開催の中止など、競輪界は苦しい現在にあるが「ミッドナイトの売り上げがいいみたいだし、そういうものをチャンスだと思って、これからにつなげていければ」とS班としての責任感もにじませた。

 日本競輪選手会の神奈川支部長を務める対馬太陽(41)も「神奈川では献血の企画は初めてと思う。とても必要なことだし、他の地域に広められればいいですね」と先を見据えた。コロナ禍に直面する今、様々な形での支援活動が求められている。数や機動力を発揮できる競輪選手の力は、大きな支えになる。実地に動ける現場のエネルギーが、競輪界からコロナ禍と戦う形を見せた今回の支援企画だった。

☆前田睦生(まえだ・むつお)=九州男児。ヘアスタイルは丸刈り、衣装はつるしのスーツで全国各地の競輪場の検車場を闊歩している。日頃の不摂生を休日の多摩川土手ランニングでなんとかしようとしている姿の目撃情報多数。