【競輪命】心の原点「ドリームシーカー自転車教室」

2019年12月16日 12時00分

自転車教室を開いた(左から)長迫吉拓、新田祐大、沢田桂太郎、深谷知広

 オーストラリアのブリスベンで開催された自転車競技トラック種目の「2019―2020ワールドカップ第5戦」男子チームスプリントで2戦連続優勝の快挙を成し遂げた新田祐大(33)、深谷知広(29)、長迫吉拓(26=第5戦のみ出場)の3人が14日、帰国した。快挙達成の興奮冷めやらぬ翌15日には、新田が代表を務める自転車のトレードチームである「ドリームシーカーレーシングチーム」のメンバーとして自転車教室を開催した。

「ドリームシーカー」が企画し神宮外苑サイクリングコースで、子供たちに自転車の楽しさ、また安全の大事さを伝えるイベントだ。過酷な遠征の直後だが、新田は「4日くらい休みがあるのですが、こうやって楽しんで自転車に乗っているのが一番いいですね。何より、自分たちがやっていることの意義を見つけることができる」と爽快な笑顔を見せていた。

 新田が中心となり2016年にチームを立ち上げ、17年には深谷、長迫が加入。ドリームシーカーのメンバーのそれぞれが、各地、各競技で大活躍している。チームの主眼は2020東京五輪でのメダル獲得、そして競輪、自転車競技の普及…といえば堅い表現になるが、何よりも自転車の楽しさを伝えたいという思いが原点にある。そんな時間をトップ選手、子供たち、そしてその家族らがみな笑顔で楽しんでいた。また、「ドリームシーカー」のメンバーではないが、趣旨に賛同する中距離種目のトップライダー・沢田桂太郎(21=チームブリヂストン)らも参加し、長身を生かしたパフォーマンスで子供たちの人気を集めていた。

 準備運動を終えると、コースを一番早くではなく、一番遅くゴールするロンゲストラップを楽しんだり、一本橋に見立てたラインを外れずにまっすぐ進んだり、S字カーブを細かいハンドルワークで回るなど、子供たちは一つひとつの種目に熱心に取り組んでいた。

 自転車教室終了後には、金メダル獲得会見が行われた。新田は「スプリントで3位になり銅メダルを獲得できたことは本当にうれしかった」と喜びつつ、現在のナショナルチームの充実した環境、メンバーの意識の高さを解説していた。

 長迫はBMXの日本代表でもあるので「メインはBMX」としながらも、「選考によるけど、チャンスがある以上は全力で頑張る」と意気込んだ。現在は雨谷一樹(29)が第1走に君臨しているが、チーム内での競争も激化した形だ。

 破格の進撃を見せている深谷は、第5戦の男子スプリントでもう少しで金メダルに手が届きそうだった。「負けて銀メダルよりも、勝って銅メダルの方が気持ちよく終われるということが分かった」と、熱戦のVTRを見ながら胸の内を語った。

 また「決勝の2本目は最終3角から鼻血が噴き出してしまって…。ゴールした時は手袋やウエアが血まみれだった」と壮絶な戦いを物語るエピソードを披露した。

☆前田睦生(まえだ・むつお) 九州男児。ヘアスタイルは丸刈り、衣装は吊るしのスーツで全国各地の競輪場の検車場を闊歩している。日頃の不摂生を休日の多摩川土手ランニングでなんとかしようとしている姿の目撃情報多数。