伏見俊昭(43)が21日の京王閣記念3日目7Rで勝利し節目の500勝を達成した。

「飯野君サマサマです。『無理しなくていいよ』とは言ったんだけど、彼は主導権を取ることしか考えていなかったみたい。昨日の山崎(芳仁=40)はピクリとも動かなかったからね(笑い)。このままズルズル(勝てずに)いっちゃうんじゃないかって不安もあったし、毎日プレッシャーだったので。決められて良かった」とレース後は飯野に感謝し、そして喜びをかみしめていた。

 ファンをはじめ、選手仲間や業界関係者の多くが、3日目の番組を見て、ここで500勝を達成するのでは?と思ったことだろう。それは〝飯野祐太(35)の番手だから〟ではないか。飯野といえば「たぶん自分が日本で一番(発進役が)上手だと思う(笑い)」と言うように、自他ともに認める〝引っ張りの達人〟である。主導権をしっかり取り切る先行力に加えて、〝引っ張り〟に重要な、潔さと行くべきタイミングを把握しているからこそ、成功率が抜群に高い。二段駆けが敬遠されがちな風潮ではあるが、〝飯野が引っ張り役〟となる番組を見ると車券購入の食指が動くというファンは多いはずだ。
 そんな飯野の愛弟子・高橋晋也(25)が今月13日付で、115期生で一番乗りとなるS級昇進を果たした。高橋と大舞台で連係することができれば、それは飯野にとっても大チャンスである。今まで後ろの選手の1着に何度も貢献してきたが、そろそろ自身が報われてもいいころだろう。そんな日が早く訪れることを、1人の競輪ファンとして願ってやまない。   


☆奥山雄大(おくやま・ゆうだい)スポーツ紙の競輪記者では全国最年少。特技は肉をおいしく焼くことで〝初級焼き師〟の資格を持つ。主にミッドナイトの取材を担当。1988年生まれの通称・松川(高大)世代。