ワタミだけが2年連続となった。
6月27日にノミネート企業・団体が発表された「第2回ブラック企業大賞2013」(ブラック企業大賞実行委員会)。「ワタミ」「クロスカンパニー」「ベネッセコーポレーション」「サン・チャレンジ」「王将フードサービス」「西濃運輸」「東急ハンズ」「国立大学法人東北大学」が大賞候補とされた。
クロスカンパニーは女性向け既製服の企画・製造および小売店展開を行う会社で、宮崎あおいをキャラクターにしていることでも知られる。サン・チャレンジは「ステーキのくいしんぼ」を、王将フードサービスは「餃子の王将」を展開。東北大は独立行政法人だが、同賞は団体も対象に含めているという。
ちなみに12年の前回は「ワタミ」「ゼンショー」(すき家)「SHOP99」(九九プラス)「すかいらーく」「ウェザーニューズ」「フォーカスシステムズ」「陸援隊およびハーヴェストホールディングス」「丸八真綿」「富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ」「東京電力」がノミネートされ、ウェブサイトで受け付けた投票ではワタミが圧倒的多数を占めたが、福島第1原発事故による社会的な影響も考慮され、東電が大賞となったという。SHOP99は現「ローソンストア100」。フォーカスシステムズは総合情報サービス企業。富士通ソーシアルは、ソフトウェア関連の富士通子会社。
第2回の今回もウェブ投票を受け付け、大賞は8月11日に発表される。2回連続となったワタミで問題とされたのは、08年に入社2か月の正社員森美菜さん(26=当時)が厚労省が定める過労死ライン(月80時間の残業)をはるかに上回る月141時間の残業を強いられた末、精神疾患と過労自殺に追い込まれたことへの対応。労災認定はされたものの、創業者の渡辺美樹会長(6月27日に全役職の辞任を発表)は「労務管理ができていなかったという認識はない」とツイートして批判を浴びるなど、謝罪はしておらず、事態の改善と責任を明らかにするため遺族や支援者らが責任ある立場の人間との面会を求めても、「それすらやっていない」(大賞実行委)として2回連続のノミネートとなった。
実はワタミについては、4月に開催されたDVD「ブラック企業にご用心!-就活、転職の落とし穴」(アジア太平洋資料センター)発売を記念したシンポジウムで、「引き続きノミネートしていくかはメンバーでフォローアップしていく。ワタミはノミネートしてもらいたい」との声が一部のパネリストから上がっていた。
一方で、いまや「アベノミクス」「じぇじぇじぇ」とともに流行語大賞の有力候補となりそうな普及度の「ブラック企業」には経営者も神経をとがらせている。ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長や渡辺氏はその“急先鋒”(というか、最も批判が強い)としてこの春あたりから反論を行っている。法的措置も辞さずの構えで、ブラック企業大賞も、認定理由の事実関係は別にして、「ブラック」という言葉づけが「レッテル貼り」と企業の側から逆襲される可能性はないのだろうか――(後編に続く)
