一年初めの大相撲初場所(14日初日、東京・両国国技館)に「新」の肩書きで臨む力士は新小結の貴景勝(21=貴乃花)ら5人。2人いる新十両の1人、水戸龍(23)は一昨年、週刊誌に「崩壊」と報じられた錦戸部屋から待望の初関取だ。
幕内優勝経験のある元関脇水戸泉(55)が2002年、高砂部屋から独立して設けた錦戸部屋。弟子の大量休場や地元後援会長の辞任などがあった後の16年9月、週刊新潮が部屋“崩壊”のきっかけと目される存在だとして、同年2月に錦戸親方と結婚したソプラノ歌手・小野友葵子さんに言及。おかみさんと歌手業の“二刀流”の小野さんと同棲以降、親方は弟子たちへの指導やコミュニケーションが減ってしまったと報じられた。
すると同年10月、TBS系テレビ番組「爆報!THEフライデー」が錦戸部屋への密着ドキュメントを放送。弟子が3人しかいなくなった窮状が明らかにされた一方、「親方や女将に呆れて弟子が辞めたのは本当?」との点には親方らが否定。親方は人工透析を受けるため稽古を見ることが難しくなったといい、小野さんが師匠不在の穴を埋めるべくサポートする姿が放送された。この番組内容を新潮が批判し、当時入門が決まっていたモンゴル出身の学生横綱について「この部屋に入ったばかりに、才能を潰してしまうのだとしたら、角界にとってこれ以上の不幸はないのだが」と前途を危ぶむ書きぶりだった。
記事にあった「モンゴル出身の学生横綱」が、16年に全国学生相撲選手権をモンゴル出身者として初めて制した当時日大の現・水戸龍。事実上のデビューとなった昨年夏場所の幕下15枚目格付け出しから4場所で十両昇進を決め、前出記事の“憂い”は杞憂と言える現状だ。力士も5人を抱え、小野さんブログによると将来の入門予定者が2人いるという。
力士5人は小所帯だが、日本相撲協会ホームページにある45相撲部屋を見ると、これより少ない部屋が5つもある。大鵬と一時代を築いた元横綱柏戸が創設した鏡山部屋はわずか2人。協会危機管理部長として貴乃花部屋へ通う姿が何度もテレビに映った鏡山親方(59=元関脇多賀竜)も頭を悩ましているに違いない。現解説者・北の富士氏とともに綱を張った玉の海が在籍した片男波部屋の3人も寂しすぎる。井筒部屋と元大関琴欧洲(34)がつくった鳴戸部屋はともに4人。
かつては50を超えた相撲部屋も大台を割り、800人規模の時代もあったという力士総数も現在は650人。佐渡ヶ嶽部屋(41人)や木瀬部屋(36人)のような大人数の部屋は少数派で、ほとんどが20人未満にとどまる。「崩壊」事態は避けられた格好の錦戸部屋と水戸龍は初場所の注目ポイントだろう。
