スポーツから社会ネタまで、中古・新品まざりあった話題のフリーマーケット
プロフィール
渡辺学
1986年入社。ゴルフ担当を経て89年からテニス、ラグビー、アメリカンフットボール、アマチュアレスリング、陸上、水泳、サッカーなどの取材に携わった。五輪は夏季2回、冬季3回を現地取材。2001年に運動部デスク、06年から文化部で社会面デスクを担当後、専門委員などを経て現在法務広報室長。早大卒。
最新記事
カレンダー
2019年2月
« 1月    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728  

Archives

皇族も愛した名ウイングの訃報
2014年07月03日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ラグビーの日本代表、東芝府中で活躍した往年の名ウイング・戸嶋秀夫さんが6月28日に死去したことを先日、人づてに知らされた。59歳の若さだった。1日に埼玉県内で営まれた告別式には社内勤務のため行けなかったが、その模様は大友信彦氏のブログに詳しく掲載されている。

 新聞やテレビはあまり報じなかったようで、筆者もそれまで知らなかった。歴史に残る大選手ではなくとも、その存在感は大きく、評伝がないのは寂しいラガーマン。ピッチには立たなかったが、カーディフ・アームズパークで1983年10月22日、ウェールズと24-29の接戦を演じた日本代表の遠征メンバーに名を連ねていた。秋田・金足農業高校から日大、秋田市役所を経て、新日鉄釜石のV7黄金期にライバルの東芝府中で活躍。ボールが茶色の皮製でトライ4点の時代、寡黙にして無骨、ストイックな雰囲気のハードタックラーは玄人好みの選手だった。

 ウェールズ戦当時の日本協会機関誌にあるデータでは、177センチ・80キロとある。この試合に出場したウイングの東田哲也(同大3年)と金谷福身(日新製鋼)はそれぞれ、182センチ・81キロ、173センチ・70キロだから、戸嶋さんはその中間。日本代表では、ウェールズ遠征直前のオックスフォード&ケンブリッジ大連合戦(日本10-15オ・ケ大連合)や、80年のオランダ・フランス遠征、84年のフランス戦(国立競技場・日本12-40フランス)などに出場・参加した。

 東芝府中では、釜石V7達成の84-85年シーズンの全国社会人大会準決勝で、19-19の“抽選負け”と釜石を心胆寒からしめる戦いに貢献。戸嶋さんの猛烈なタックルは語り草となっており、対戦した元日本代表SO松尾雄治氏は著書「常勝軍団」(講談社、86年)でこう振り返っている。

 「東芝ボールのスクラムから出たボールをスタンドオフ及川がまたしても絶好のハイパント。釜石陣深く高々と上がって落ちてくる。ウイングの金子とフルバックの谷藤さんが落下地点に入って身構える。そのときだ! ボールの落ちる速度に合わせたように、東芝陣内から風のように突進してきた影があった」

 「まるで青い稲妻だった。一直線に接近すると、ボールを手中におさめようとしている金子と谷藤さんにトップスピードのまま激突した! タックルされた二人は吹っ飛んだ。脳震盪を起こしたのか、芝の上に倒れたまま起き上がれない」

 「当たったのは東芝府中のウイング戸嶋だった。戸嶋は当時、東芝府中からただ一人選ばれた日本代表選手で、ジャパンのバックスの中でも、敵とのコンタクトプレーに強いプレーヤーとして定評があった。その戸嶋が精魂こめて放った会心の二人タックルだった。こぼれたボールを、フォローに来ていた東芝のバックスが拾い、そのまま釜石のゴールポスト下にトライ。ゴールキックも易々と決めた」

 東芝が抽選に勝っていれば、釜石のV7阻止を生んだ歴史的プレーとして、このタックルはより大きな伝説と化していたに違いない。3年後の88年1月、花園で行われた全国社会人大会決勝で東芝はトヨタ自動車に19-7の勝利を収めて初優勝。33歳の戸嶋さんは両チームの先発を通じて最年長の選手として先発した。引退後は監督も務めた。

 その実直なキャラクターは、元日本代表FL梶原宏之氏らに受け継がれ、チームカラーにも反映されているのではないか。83年刊行の「ラグビー最前線」(柏英樹著、二見書房)にはその人柄がこう記されている。

 「この道一筋といったタイプで東北人特有の粘りとひたむきさを持っている。勉強家であるとともに、ひとたび話し出すと力が自然にこもる熱弁家。秩父宮妃殿下が戸嶋ファンという話が伝わり、フィフィティーンも『そういえばどこか高貴なムードにあふれているなあ』と見る目が変わってきた。酒どころ秋田の出身らしく、酒豪№1の声もあり、実際、日本酒なら一口飲んだだけで銘柄を当ててしまうほどの通だ。29歳、既婚」

 ラグビーの聖地にゆかりある皇族からも愛された選手だった。







東スポ動画
注目コンテンツ
ビートたけし本紙客員編集長が審査委員長の独自の映画賞!

日本マット界の隆盛、発展を祈念し、東スポが制定したプロレス大賞です。

開催3場の全36レース(2場開催の場合は全24レース)の馬柱を完全掲載!