何となく思いついたこと、目についたことをツラツラと…。
プロフィール
高木圭介
昭和44(1969)年6月4日、神奈川県川崎市生まれ。神奈川大学レスリング部を卒業後、1993年に東スポ入社。プロレス&格闘技、社会、レジャー、特集部などを担当後、現在は運動部所属。 2006年10月、本紙携帯サイト「東スポ芸能」のスタートと同時に当コラムはスタート。2009年10月から晴れて、紙面でも連載開始。世の中の重箱の隅を愛する〝長期連載〟。
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379:日本国内で「リアル・プロレスリング」は可能か?
2012年11月02日

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<2012年8月=東スポ携帯サイトより>

 2006年に米国で旗揚げした格闘技団体「リアル・プロレスリング(RPW)」をご存知だろうか?

 残念ながら現在は活動休止してしまった様子だが、このRPWの何が画期的だったかというと、リングを使わず、アマチュア・レスリングのマットを戦場とし、ルールも「反則は5秒以内OK」のプロレスルールではなく、試合時間に違いはあれど、現行のフリースタイル・レスリングとほぼ一緒。

 つまり決着も3カウントのフォールではなく、1カウント。絞め技や関節技は禁止。打撃でKOなんてありえない。限りなくアマチュアのレスリングと同じルールで、各州のトップ選手を集め、州ごとの対抗戦などを軸にプロ興行を行っていたのである。現在もYouTubeなどに多数の動画が残されているので参考までに視聴していただきたい。

「そんなのプロレスじゃねえ!」と言う意見もあるだろうが「プロのレスリング」という意味では邪道どころか、こちらこそが正統派という見方もできる。スポーツの種類は数あれど、レスリングほどプロとアマで違いのある競技はない。

 それはなぜか? 長年、組み技系の格闘技は観賞用スポーツ、つまり、プロ興行向きではないとされてきたからだ。あれほどカレッジレスリングの人気が高く、レスリングの攻防を楽しむ土壌がある米国内でさえ、プロレスは現在のWWEのように物語性に富み、ショーアップする形で進化してきた。

 日本では古来より、大相撲という「ジャパニーズ・プロレスリング」が存在し、興行的にも成功を収めているが、力士たちの異形ぶり、競技とはあまり関係ない、ちょんまげという髪形を残しつつ、五穀豊穣の神事や伝統芸能としての側面も大きい(そもそも「スポーツ」なんていう概念よりも先に、古来より日本に存在したモノだ)。

 戦後、柔道の猛者たちにより「プロ柔道」が旗揚げされたが、これも短命に終わっている。結局、組み技格闘技で長期的にプロ化に成功したのは、レスリングの技術を観賞用にデフォルメすることでショーアップと試合数増加を可能にできたプロレスだけなのだ。

 ところが、今回のロンドン五輪で行われているレスリング競技を社内などでテレビ観戦していて、そんな兆候に変化が現れつつあることに気がついた。 グレコ、フリー、女子に限らず、特にレスリングに興味のない人たちもレスリングの試合を熱中して見ているのである。日本人選手の試合だけでなく、例えば「イラン対アゼルバイジャン」なんて、まるで関係ない組み合わせでも、面白がって視聴している人もいた。かつてレスリングは「つまらない」「地味」なスポーツの代名詞とされてきた(そうでなければ、そもそもプロレスがああいう形で発展した理由がない)。

 20年前ぐらい前は、バックを取ったら1点、転がしたら2点、3点なんてルールも「意味が分からねえ」「バック取って点が入るなんてオカマみたい」なんて罵詈雑言を浴びせられていたものだ。

 ところが、この15年ぐらい、プロレスに替わって人気を獲得しつつあったプロ総合格闘技の普及によって「バックを取られる=戦場ならば死」「相手にコントロールを許す=戦場ならば死」という、殺し合いの取っ組み合いをデフォルメして、スポーツ競技化されたモノこそが、レスリングのルールであることが理解されてきた。もちろん最速で相手を倒すタックルの実用性についてもだ。

 柔道、いやJUDOが「相手につかませない」「でもタックルは禁止」という、よく分からん格闘技になってしまった分、レスリングのスピーディーな展開が支持されつつあるのだろうか?

 それとも、選手側からは「あわただし」「落ち着かない」「敵と戦っているというより、時間と戦っているみたい」と不評極まりない現行ルールが、案外とテレビなどで視聴する側からしてみると、短い試合時間がスリリングさを演出し「効果アリ」だったのかも?

バイオレンスはセックスと並んで人間の興味を引きつけるキーワードとなる。凄惨な「流血シーン」は、かつてプロレス中継の華でもあったが、現在では逆にテレビでは放送できないモノとなってしまっている。バイオレンスとは別のベクトル…例えば人間の身体能力の凄さ、限界を見せつける方向性で勝負する「リアル・プロレスリング」を日本国内で実施してみたら、意外や人気を呼べるかも知れない。







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