プロフィール
須山浩継(すやまひろつぐ)
1963年広島県出身。大学卒業後、5年間のサラリーマン生活の後に「趣味で食えたらラッキー」と、プロレス&格闘技を主に取材対象とするフリーライターに。 プロレスに関してはもっぱらインディー系と女子が専門分野で、メジャー団体や選手の取材経験は非常に少ない特殊マスコミ。 現在はサムライTVの怪番組「インディーのお仕事」の企画構成、大日本プロレス中継の解説などを担当。




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史上空前の15歳 みなみ飛香
2010年07月09日

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みなみ飛香という女子プロレスラーがいます。彼女はこの春に高校に入学したばかりの15歳。でも彼女は小学校6年生の時にデビューしているのでキャリアは4年になります。女子プロレスに詳しい方でなければご存知ないと思いますが、彼女がデビューした我闘姑娘(がとーくーにゃん)という団体では、けっこう多くの小中学生女子プロレスラーが試合をしていたのです。

当時は“ひかり”というリングネームだった彼女は、身長こそ高かったものの不器用だったこともあって、小中学生レスラーの中ではあまり目立った存在ではありませんでした。ただ、プロレスへの愛情は人一倍だったようで、同年輩の選手たちが中学生になると次々と辞めていく中で、彼女はリングに上がり続けました。

そんな彼女が現在のリングネームに改名したのは、親戚の同級生に元女子プロレスラーがいたことを知ったのがきかっけでした。その女子プロレスラーの名前はみなみ鈴香。かつて北斗晶とタッグを組んでいたテクニシャンです。どちらかといえば地味なタイプの選手でしたが、試合の映像を観て強く魅かれるものがあった彼女は、直接本人と会ってみなみ飛香のリングネームを名乗ることを許されます。

ちなみに改名したのと同じ時期から、彼女はユニオンプロレスの大家健のことを「大好き!」と公言するようになります。以前にもこのブログで少し紹介したことがありますが、大家はお世辞にもスター選手ではありませんし、女性ファンが多いという話も聞いたことがありません。体つきもボテっとしていて、お金も持っていません。でもレスラーとしても人間としても、噛めば噛むほど味が出るスルメのような魅力の持ち主です。

普通の中学生には、そんな大家の魅力は理解できないでしょう。しかし飛香は中学1年にして大家の魅力を理解したのです。普段の飛香はとても天真爛漫でヒマワリをイメージさせる明るい女の子ですが、みなみ鈴香や大家健の魅力をローティーンにして理解してしまう、非常にシブい感性の持ち主でもあるのです。

そんな彼女も中学2年から3年にかけて1年ほどリングを離れていた時期があります。理由はクラブ活動と学業のためでしたが、プロレスを続けていくことにも迷いが生じていたようです。

このまま辞めてしまうんだろうか?

そんなことを考えていた昨年の後半あたりから、また彼女の姿を会場で目にするようになりました。久しぶりに見た飛香はずいぶん背も伸びて、もはや子供という感じではなくなっていました。そして12月に復帰。ちなみに当時の彼女は中学3年生で高校受験を控えていた時期でしたが、毎週のように試合に出続け高校受験直前だというのに地方遠征にも参加しました。

正直、「大丈夫か?」と心配していたのですが無事に高校も合格。かくして彼女は春から女子高生レスラーとしてリングに上がり始めます。この頃から私は彼女のことを、「この子はひょっとしてプロレス史上でも空前の存在では?」と思うようになり始めたのです。

昨年末から復帰したみなみ飛香を見て驚いたのは、女子プロレスラーとして非常に立派な体になっていたことです。もともと小学生の頃から背は高かったのですが、いい感じで厚みと幅が増していたのです。平成生まれならではの足の長さも魅力ですし、プロレスを休んでいる間に陸上競技を頑張ったおかげで、基礎体力もずいぶんアップしていました。セパレートのコスチュームのお腹も腹筋が割れててカッコいいです。

当然、それだけ立派な体になれば相手の攻撃も厳しいものになります。さすがに復帰したばかりの頃は、きつい攻撃を受けるとひるんでしまうこともありましたが、春あたりになると先輩レスラーの中に入っても、違和感のないファイトができるようになりました。さらにここ数カ月の間にロープに飛び乗って放つ、いわゆるスワンダイブ系の技もレパートリーに加わりました。決め技のブロックバスターホールドの際に見せるブリッジの高さと美しさは、男子を含めてもプロレス界一かもしれません。

もちろん、まだ技の失敗も多いですし試合内容にも波があります。試合中に技を失敗したり、心が折れかけてしまう場面を目にすることも珍しくありません。しかし彼女はデビュー4年目の選手ですが、まだ高校1年生の15歳なのです。それってとてつもないことだと思うのです。

男子であれ女子であれ、プロレス団体に入門するのは早くて中学を卒業した直後の春。そこから練習を始めて、デビューできるのはかなり才能に恵まれた選手で夏あたりです。しかし飛香は約1年の休養期間を差し引いても、すでに15歳にして3年のキャリアを積んでいるのです。

もしも15歳の新人選手がデビュー戦で現在の彼女と同じレベルのファイトを見せたら、間違いなく“驚異の15歳がデビュー!”とニュースになることは間違いないでしょう。プロレス専門誌は表紙にするかもしれません。それくらいに15歳としては凄いことを、彼女は当たり前のように続けているのです。まさに前人未到の境地を歩み続ける15歳。しかも、まだまだプロレスラーとしては未完成であるがゆえに、とてつもない成長の可能性も秘めているのです。

そんな飛香は7月19日のアイスリボン板橋グリーンホール大会で、さくらえみが保持するICE×60選手権に挑戦します。相手はキャリアではるかに上回り、昨年の女子プロレス大賞を受賞したさくら。客観的に見て不利は否めない一戦ではありますが、もしも勝ってチャンピオンになれば今年後半の女子プロレス界において、彼女の存在感は一気に大きくなってくるかもしれません。一気に突っ走って、15歳で女子プロレス大賞受賞なんてことになれば、これは最高に痛快な出来事です。

デビュー10周年を22歳で迎える彼女。いやはや若さは絶対的な武器であります。



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