2015年の世相を1字で表す「今年の漢字」が「安」に決まり、日本漢字能力検定協会が京都市の清水寺で発表した。
安保関連法案、安倍首相、とにかく明るい安村の「安心してください」などから「安」が選ばれたのだろう。
しかし本当にそれでよかったのか。
われわれはあらためて今年の漢字候補を考えてみた。以下がノミネートとその理由である。
・下流老人という言葉は深刻だ。高齢者の貧困のことである。『下流老人』の著者・藤田孝典氏は「老後の貧困は、ひとごとではない」と述べる。
すべての世代の問題であると考え、まず、下流の「下」を選びたい。
・スポーツ界では今年は高校野球の人気が高かった。オコエ瑠偉、平沢大河、小笠原慎之介は甲子園で活躍後、ドラフト1位でプロへ。早実のスーパー1年生・清宮幸太郎の登場でしばらくマスコミの熱気は続きそう。
人気再燃の高校野球の「高」。
・国際的には難民問題だ。難民「着」からの課題も多い。
日本国内の「着」といえば、北陸新幹線の開業が今年のビッグニュース。北陸と首都圏の発着がにぎやかに。
ここは合わせ技として「着」をピックアップしよう。
・2015年の大問題と言えば、なんといっても新国立競技場建設計画の迷走である。今週新しいデザイン候補が2点発表された。注目すべきはA案B案どちらも木材を使用した和風建築を提案していることだ。どちらの案が選ばれても「木」がポイントとなる。
年末のここにきて「木」は注目の漢字となった。「木」を当然選ぶ。
・以上が漢字候補であるが、特別に「今年のカタカナ」も選んでおきたい。というのも今年はとにかくドローンが話題になったからだ。首相官邸の屋上で発見されたり、阪神のゴメスが甲子園で飛ばして怒られた。それだけではない。「ドローン」という響きには甘美なダジャレの誘惑がある。
というわけで、今年のカタカナとして「ド」「ロ」を追加しておきたい。
以上がノミネートされた候補だ。どれも「安」に負けずに記憶に残る字である。もういちど整理してみよう。
「高」「木」「下」「着」「ド」「ロ」(順不同)。
慎重に選びたい。